
ESGリスクトピックス【2019年度 No.6】
2019.10.1
今月の主なトピックス
Environmental-環境-
<水>
リーバイス、水ストレスの高い地域での水消費量を2025年までに半減
米国リーバイ・ストラウス(リーバイス)は8月22日、新しい水に関するアクション戦略「2025水アクション戦略」を発表した。全生産量の80%を占める主要サプライヤーと協働し、水ストレス*の高い地域において製品生産時の水消費量の50%を2025年までに削減する。また同地域における水へのアクセスを向上させる取り組みも実施する。
この戦略では、地域ごとの状況に応じた目標の設定や、NGO等との連携、水ストレスの検証に「世界資源研究所(WRI)」のデータを活用するなど様々なアプローチが採用されている。
(参考情報:2019年8月22日付 リーバイ・ストラウス HP)
<気候変動、生物多様性>
アパレル32社が「ファッション協定」に署名
アパレル32社は8月23日、フランスで開催されたG7サミットに先立ち、気候、生物多様性、海洋保護に関する「ファッション協定」に署名した。署名企業やブランドには、アディダス、ケリング、ナイキ、GAP、H&M、シャネル、プラダ、ラルフローレンなどが含まれる。同協定は、2050年に温室効果ガス排出量ゼロを達成するための行動計画の策定、科学的根拠に基づく生物多様性保護の目標の策定、使い捨てプラスチックの段階的廃止を行うとしている。
(参考情報:2019年8月23日付ケリング社プレスリリース)
Social-社会-
<個人情報>
NTTドコモ、利用者自身が個人情報の活用範囲を自由に確認・変更できるサイトを新設
NTTドコモは8月27日、携帯電話の利用者などが同社に提供している個人情報について、提供者自身が、自分の個人情報の第三者提供や位置情報の取得・利用などの同意状況を自由に確認し、必要に応じて変更できるサイトを新設すると発表した。サービス開始は12月11日から。同社の個人情報の活用状況に関する透明性を高め、利用者の不安を取り除くことで、個人情報を活用したデータビジネスを本格化させるのがねらい。
(参考情報:2019年8月27日付NTTドコモHP)
<労働問題>
ファーストリテイリングがアジア7カ国の労働者支援でILOに1億9千万円を拠出
ユニクロなどを傘下に持つファーストリテイリングは9月4日、同社が生産拠点を置くアジア7カ国で、労働者の社会保障の充実と労働環境の改善を目的に、国際労働機関(ILO)とパートナーシップを締結したと発表。2019年から2年間で180万米ドル(約1億9千万円)拠出する。対象国はバングラデシュ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ミャンマー、ベトナム。同地域で縫製産業の失業リスクが高まっていることから、労働市場や社会保障制度の比較調査や労働者の保護水準の向上のための政策対話に資金を充てる。
(参考情報:2019年9月4日付ファーストリテイリングHP)
Governance-ガバナンス-
<ガバナンス>
ビジネス・ラウンドテーブルが「脱・株主第一主義」を宣言
米国の主要企業で構成される経営者団体「ビジネス・ラウンドテーブル」は8月19日、「企業は株主だけでなく顧客や従業員、地域社会など、利害関係者全てに便益をもたらす責任がある」とする声明を発表した。
同団体は1978年より定期的に基本方針を改訂してきたが、今回初めて、米国の経済界を支えてきた「株主第一主義」の視点から大きく転換を図り「顧客の期待を上回る価値の提供」「従業員のスキル開発を支える投資」「取引先の規模に関わらず公平な取引を実践」「事業を取り巻く環境、地域社会への支援」「株主への長期的な価値の創出」といった5項目を新たな優先課題とした。
(参考情報:2019年8月19日付ビジネス・ラウンドテーブルHP)
<ガバナンス>
公正取引委員会が「デジタル・プラットフォーマーと消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(案)」を公表
公正取引委員会は8月29日、デジタル市場における公正・自由な競争の確保のため「デジタル・プラットフォーマー*と個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(案)」を公表した。
同案は「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則」(2018年12月公表)に基づき、優越的地位の濫用にあたる具体的な考え方を示したものであり、例としてデジタル・プラットフォーマーが消費者の個人情報の取得において「利用目的を知らせない」「利用目的の達成に必要な範囲を超え、消費者の意に反している」「個人情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じない」「消費者がサービス利用の対価として提供している個人情報等とは別に、経済上の利益を提供させる」といった行為を挙げている。
(参考情報:2019年8月29日付公正取引委員会HP)
全般・その他
<SDGs>
総務省が、SDGs各目標の到達度示すデータを公表 企業・自治体の取組検討に活用期待
総務省は8月8日、SDGsの各目標の達成度を測るグローバル指標の全244指標のうち作成中などを除く125指標について、日本の現状を示すデータを公表した。今回の公表は、対象の目標に対する日本の到達度を明らかにした格好。国全体の目標達成に向けた取組を企業・自治体などが考える際の参考に活用できそうだ。
(参考情報:2019年8月8日付総務省HP)
今月の『注目』トピックス
<気候変動>
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、特別報告書「気候変動と土地」を公表
(参考情報:2019年8月8日付 IPCC プレスリリースほか)
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)*は8月8日、特別報告書「気候変動と土地**」を公表した。同報告書は、気候変動と土地の関係についての科学的知見を評価することを目的としたものである。
報告書では、農業、林業及びその他の土地利用が、2007年~2016年の人為的な温室効果ガス総排出量のうち約23%を占めていることが示され、持続可能な土地管理(土壌、水、動植物を含む土地資源を、生産性や環境面の機能を維持しながら管理・利用すること)が気候変動の緩和・適応に寄与しうることが指摘された。
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