レポート

ESGリスクトピックス 2024年度 No.1

2024.4.5

<気候変動>
日米でGHG排出量の開示義務化の動き強まる

金融庁は2月19日に開催された金融審議会において、東証プライム企業を対象に、現在策定中のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)の基準に沿って、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報開示を義務化する方針を示した。SSBJは、昨年6月に公表された国際サステナビリティ基準審議会*(ISSB)の基準を踏まえて、日本版の開示基準を策定中であり、2024年3月までに公開草案を示し、2025年3月までに最終化を予定している。

(参考情報:2024年2月19日付 金融庁HP
2024年3月26日付 金融庁HP

<サステナビリティ情報開示>
金融庁がサステナビリティ情報の保証制度導入に向けWG設置

金融庁の金融審議会は2月19日、「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」の設置を公表した。有価証券報告書でのサステナビリティ情報開示に、財務諸表と同様の第三者が「保証」する制度の導入を検討する。

(参考情報:2024年2月19日付 金融庁HP

<サステナビリティ情報開示>
ISSBがサステナ開示基準の各国採用状況を調査、24年上期めどに結果を公表へ

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)はこのほど、2023年6月にリリースしたサステナビリティ開示の国際基準について、各国での採用状況を調査・一覧化したガイドを24年上期めどに公表すると発表した。

(参考情報: IFRS HP

<国際動向>
EU がグリーンウォッシュ禁止指令案を採択

2024年2月20日、EU理事会(閣僚理事会)はグリーンウォッシュを禁止するために、「グリーン・トランジションのための消費者権利の強化指令案」(以下、本指令案)を正式に採択した。グリーンウォッシュとは、英語で「ごまかす」「欠点を隠してよく見せる」という意味の「ホワイト・ウオッシュ(Whitewash)」と「環境に良い」という「Green」を組み合わせた造語で、実質を伴わない、または裏付けのない不明確な環境訴求のことを指す。グリーンウォッシュの問題は、消費者や投資家などが製品や企業を環境に配慮されたものと思い込み、適切な選択肢を選べず、結果的に環境問題が深刻化してしまう点にある。加えて、実際に環境に配慮している企業の努力が隠れてしまう可能性もある。欧州委員会が2020年に行った企業の環境訴求に関する調査によると、EU域内に流通する150件の製品のうち、環境訴求の53%は「あいまい/誤解を招く/根拠がない」、40%は「裏付ける根拠がない」という結果が出ている。

(参考情報:2024年2月20日付 European Commission HP

<気候変動>
環境省「ブルーカーボン」の吸収量を世界初算定、国連に報告へ

環境省は2月28日、「ブルーカーボン」による二酸化炭素(CO2)吸収量を世界で初めて算定し、その方法を公開した。4月に温室効果ガスインベントリ(Greenhouse Gas Inventory)に反映させ、国連条約事務局に提出する。

(参考情報:2024年2月19日付 環境省「我が国インベントリにおける藻場(海草・海藻)の算定方法について」

<不正競争防止法>
外国公務員に対する贈賄への対応強化に向けて外国公務員贈賄防止指針を改訂

経済産業省は2月、外国公務員贈賄防止指針を改訂した。2023年6月に不正競争防止法の一部が改正されたことに加え*、OECDからのスモール・ファシリテーション・ペイメント(SFP)**に係る解釈についての指摘を踏まえたもの。本改訂により、企業における外国公務員に対する贈賄防止体制の構築と運用のポイントや外国公務員贈賄の法解釈に関して、内容が拡充された。

(参考情報:2024年2月1日付 経済産業省 HP

<内部通報制度>
消費者庁が内部通報制度に関する意識調査の結果を公表

消費者庁は2月29日、就労者1万人を対象に実施した「内部通報制度に関する意識調査」(以下、「本調査」)の結果を公表した。本調査は、公益通報者保護法が求める「内部通報制度*」の認知度や通報に対する意識を把握し、制度の普及や実効性向上に向けた施策の参考とすることを目的に2023年11月に実施された。

(参考情報:2024年2月29日付 消費者庁 HP

<非財務情報開示>
金融庁が有価証券報告書の「好事例集」を公表 開示充実のポイント解説

金融庁は3月8日、企業の有価証券報告書の優れた開示を紹介する「記述情報の開示の好事例集2023」を更新した。開示の充実化を促すため毎年作成しており、2023年版は内閣府令の改正で新たに開示が求められるようになった「サステナビリティに関する考え方及び取組」をテーマに昨年12月に公表していた。今回の更新では、「コーポレート・ガバナンスの概要」などの分析を追加。投資家、アナリストらの意見をもとに選んだ好事例について高く評価したポイントを解説しており、開示の充実化を目指す企業が参考にしやすい構成となっている。

(参考情報:2023年12月27日付 金融庁HP
2024年3月8日付 金融庁HP

<サイバーセキュリティ>
サイバー管理・対策の「共通言語」がアップデート「The NIST Cybersecurity Framework 2.0」が公開

米国国立標準技術研究所(NIST)は2024年2月26日、「Framework for Improving Critical Infrastructure Cybersecurity Version 1.1(以下、NIST CSF1.1)」の後継となる「The NIST Cybersecurity Framework (CSF) 2.0(以下、NIST CSF2.0)」を公開した。

(参考情報:2024年2月26日 NIST 「NIST Releases Version 2.0 of Landmark Cybersecurity Framework」

<サイバーセキュリティ>
ENISA「サイバー危機管理のベストプラクティス集」を公開

ENISA*は、2月28日に「サイバー危機管理のベストプラクティス集」を公開した。EUにおいても地政学的な状況はサイバー脅威に大きな影響を与えており、加盟国間における「サイバー危機」の定義の相違が、国境を越えた大規模なサイバーセキュリティ事件・危機への協調的対応の課題となっている。2024年10月には、EU加盟国のサイバーセキュリティ対策のギャップを取り除き、全体のサイバーセキュリティのレベルを高めるための法的措置に関する指令「NIS2」が施行される。この研究は、EUサイバー危機連絡組織ネットワーク(EU-CyCLONe**)のために実施されたもので、NIS2の求める要件を充足する助けとなる一連のベストプラクティスを提案、EU加盟国間の異質なエコシステムをより強力な調和へ導くことを目的するものである。

(参考情報:2024年2月28日付 ENISA ニュースリリース 「Geopolitics Accelerates Need For Stronger Cyber Crisis Management」

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