コラム/トピックス

金融庁がサステナビリティ情報の保証制度導入に向け WG設置

2024.5.29

金融庁の金融審議会は2024年2月19日、「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」の設置を公表した。有価証券報告書でのサステナビリティ情報開示に、財務諸表と同様の第三者が「保証」する制度の導入を検討する。

2024年3月26日に第1回会合を開き、サステナビリティ情報の保証の担い手や保証基準・範囲・水準、制度整備などを議論する。

保証制度は、信頼性確保のため投資家から導入を望む声が上がっている。EUの欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)や米証券取引委員会(SEC)気候関連開示規則では、保証が義務化されている。適用対象の企業は、中長期的に「限定的保証」から「合理的保証」への移行が必要だ。両者は、監査人などが対象情報の信頼度を表明する際の水準が異なり、後者の方が保証のレベルは高い。

国際会計士連盟(IFAC)の「The State of Play:Sustainability Disclosure and Assurance 2019-2022」によると、世界22カ国の企業約1,400社のうち98%がサステナビリティ情報を報告しているが、何らかの保証を受けている企業は69%に留まり、合理的保証を取得する企業は10%に満たない。日本企業の場合、保証を取得する企業の94%を限定的保証が占めている。

欧州や米国では、サステナビリティ情報の制度開示で保証の導入がスケジュールで示されている。こうした動きを受けて、国際監査・保証基準審議会(IAASB)が策定中の国際サステナビリティ保証基準「ISSA5000」が、2024年9月の最終化に向けて開発が進む。同基準は、先行するサステナビリティ開示基準(ISSBやESRSなど)への適用を目的にする。日本のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が開発中の基準にも適用可能な想定で、「保証」の内容を伺うことができる。

【参考情報】
2024年2月19日付 金融庁HP
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/soukai/siryou/20240219.html

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この記事は「ESGリスクトピックス2024年度 No.1」(2024年4月発行)の掲載内容から抜粋しています。
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