消費者庁が内部通報制度に関する意識調査の結果を公表
2024.6.6
消費者庁は2024年2月29日、就労者1万人を対象に実施した「内部通報制度に関する意識調査」(以下、「本調査」)の結果を公表した。本調査は、公益通報者保護法が求める「内部通報制度(1)」の認知度や通報に対する意識を把握し、制度の普及や実効性向上に向けた施策の参考とすることを目的に2023年11月に実施された。本調査で明らかとなった主な結果は以下のとおり。
- 内部通報制度について「よく知っている」または「ある程度知っている」と回答した割合は、約39%だった。
- 勤務先に内部通報受付窓口が「設置されていることを知っている」と回答した割合は、約30%だった。
- 内部通報制度を「よく知っている」と回答した人の88%が、勤務先で重大な法令違反を知った場合に勤務先または行政機関等へ「相談・通報する」または「たぶん相談・通報する」と回答した(全体平均よりも約30%ポイント高かった 。
- 内部通報制度を「よく知っている」と回答した人は、勤務先の重大な法令違反を一番相談・通報しやすい先として「勤務先」を回答した割合は約58%だった(全体平均は約47%)。
- 勤務先や行政機関等に重大な法令違反を「相談・通報する」または「たぶん相談・通報する」と回答し、かつ勤務先に内部通報受付窓口が「設置されていることを知っている」と回答した人のうち、約76%が 最初の通報先として「勤務先」を回答した。
- 勤務先で重大な法令違反を知った場合に「たぶん相談・通報しない」または「絶対相談・通報しない」と回答した人のうち、理由として「誰に相談・通報したら良いか分からない」を選択した割合は、「たぶん相談・通報しない」と回答した人の約32%、「絶対相談・通報しない」と回答した人の約51%で、最も高かった。
本調査では、内部通報制度の理解度が高いほど通報意欲が高くなる傾向や、勤務先の通報窓口を認知している人ほど最初に勤務先へ通報する傾向があることがわかった。そのため、企業においては、内部通報制度を整備するだけでなく、従業員に対する制度の周知や理解促進に取り組むことが、 企業内部の自浄作用を高めるとともに、社外告発による風評リスク等を低減することに繋がると推察できる。一方で、本調査からは、従業員の内部通報制度の理解度や通報窓口の認知度は十分とはいえないことも明らかになった。企業にとっては、自社の内部通報制度について、従業員に対する啓発活動をより一層強化していくことが課題といえるだろう。この点、本調査結果において、内部通報制度を「よく知っている」と回答した人の75%が、制度を知ったきっかけとして、「勤務先・派遣先・従前の勤務先における研修・周知」と回答していることから、地道に、本制度の周知を図っていくことが企業には期待される。
1)本調査での「内部通報制度」とは、勤務先における法令違反行為について、勤務先自身が従業員から情報を受け付けて調査を行い、法令違反を是正する制度をいう
【参考情報】
2024年年2月月29日付 消費者庁消費者庁HP:
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships~
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この記事は「ESGリスクトピックス2024年度 No.1」(2024年4月発行)の掲載内容から抜粋しています。
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