コラム/トピックス

内部通報の認知、従業員の半数にとどまる 消費者庁の意識調査で判明

2024.6.17

消費者庁は2024年2月29日、「内部通報に関する意識調査(就労者1万人アンケート)結果」を公表した。2022年6月施行の改正公益通報者保護法で、従業員数301人以上の企業は内部通報対応体制の整備が義務付けられたが、本調査では義務対象の企業でも、およそ半数の従業員が内部通報制度や自社の通報窓口を十分理解・認知していない状況が明らかになった。

(出典:調査結果を基にMS&ADインターリスク総研が作成)

また、勤務先で法令違反を目撃した際の「通報意欲」については、回答者全体では「相談・通報する」「たぶん相談・通報する」の回答の合計が約6割であったのに対し、残る4割は相談・通報に消極的だった。相談・通報をしないと考える理由では「適切に対応してくれないと思う」「嫌がらせを受ける恐れがある」といった内部通報制度の運用への不信感が挙がった。

このような調査結果も背景に、同庁は3月27日「不正の早期発見・是正に向けた経営トップに対する提言」を公表した。本提言は、企業不祥事の第三者委員会調査報告書265本を対象に、内部通報制度の運用を阻害する要因を分析し、その結果に基づき制度の実効性を確保するために企業が実施すべき事項を取りまとめたものである。本提言では、主に、「経営トップ自らが制度の意義等を理解しメッセージを発信すること」「従業員に繰り返し研修・教育すること」の重要性が強調されている。

企業には、組織内の不正を早期に発見し適切に対処することで自社と従業員を守るためにも、22年の法改正を踏まえた体制整備にとどまらず、従業員や担当部署だけでなく経営も含めた組織全体での制度趣旨の理解度および通報窓口の認知度・信頼度の向上に取り組み、内部通報制度の実効性を高めることが求められる。

【参考情報】
消費者庁 HP: https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/~

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この記事は「ESGリスクトピックス2024年度 No.2」(2024年5月発行)の掲載内容から抜粋しています。
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