レポート/資料

タイの洪水リスク状況(2024年8月)【InterRisk Thailand Flood Report 2024 No.02】

2024.8.21

要旨
  • タイの雨季開始(2024年5月21日)から3か月が経過しました。エルニーニョ現象の収束と雨季開始に伴い全国的に降雨量が大きく増加したことから、前年から継続していた渇水懸念は概ね解消されましたが、一方でChao Phraya水系の主要ダムやタイ東部地域の貯水池などにおいては貯水率が急な増加傾向に転じており、今後の貯水量および放流量増加状況の注視が必要です。
  • タイ北部や北東部、東部エリアの一部においては、雨季開始以降の降雨量増加により平年を大きく上回る累積降雨量となっており、特に東部地域周辺では7月後半から8月初旬にかけて鉄砲水などによる多数の洪水の発生が報告されています。
  • タイ気象局(TMD)は、タイ全体の8-10月の総降雨量が平年よりも5%程度多くなると予想しています。雨季の終了までは、河川・水路の付近や低地では洪水発生への警戒が必要です。

降雨量

下図は左からそれぞれ、2024年1月1日~8月19日における累積降雨量(左図)、2023年1月1日~8月19日における累積降雨量(中央図)、2024年1月1日~8月19日における累積降雨量と平年値(過去30 年間の平均値)の差(右図)についてのタイ国内の分布を示しています。

8月19日時点の年初からの累積降雨量を昨年同時期と比較すると、南部などの一部エリアを除いて全国的に昨年を上回る降雨量となっています。特にBangkok近郊含むChao Phraya水系全域および東部地域において大きく増加しています。平年値との比較では、タイ北部、Bangkok近郊含む中央部の一部、東部地域において平年値を上回っており、南部地域などでは平年値を下回っている状況です。

図

図:2024年8月19日時点の累積降雨量、昨年同時期の累積降雨量、平年値との差異についてのタイ国内分布図
(出典:Thai Meteorological Department)

2024年雨季後半(8ー10月)の降雨予測概況

タイ気象局(TMD: Thai Meteorological Department)が2024年7月末に発表した3か月予報によると、8月~10月の3か月間の総降雨量は、全国平均では平年より5%程度多くなる と予想されています。地域別の推定降雨量は次のとおりです。

北部 550-650 mm (平年値 577 mm)
北東部 600-700 mm (平年値 636 mm)
中央部 550-650 mm (平年値 571 mm)
Bangkokおよび周辺 800-900 mm (平年値 782 mm)
東部 850-950 mm (平年値 856 mm)
南部(東海岸) 500-600 mm (平年値 531 mm)
南部(西海岸) 1,200-1,300 mm (平年値 1,217 mm)
図

図:タイの地域区分(出典:TMD)

下記に、2024年7月末にTMDが発表したタイにおける月別の降雨量の平年値からの差異に関する分布図を示します。8月は北部と東部でやや平年を上回る降雨量が、10月は広い地域で平年を上回る降雨量が予測されています。また、9月にかけては熱帯低気圧の接近による更なる降雨量の増加も懸念されています。

図

図:タイにおける月間降雨量予測値(上)と平年値比較(下)の分布図(2024年7月30日発表)
(出典:Thai Meteorological Department)

ここまでお読みいただきありがとうございます。
以下のボタンをクリックしていただくとPDFにて全文をお読みいただけます。

レポートを全て見る