レポート/資料

ESGリスクトピックス 2024年度 No.11

2025.2.4

カスタマーハラスメントに関する対応体制構築に向けた Q&A

2025年2月発行の『ESG リスクトピックス<2024年度第11号>』では、上記を含む以下のトピックを取り上げています。

  • COP29 で炭素市場メカニズムの詳細ルールを合意
  • IPBES が生物多様性、水、食料、健康の相互関係に関する「ネクサス報告書」を発表
  • 政府が循環経済移行施策で 779 億円見込む、市場拡大へ施設整備やイノベーションを促進
  • 金融庁が人的資本と人権の有報好開示例を公表、定量情報や連結情報を重視
  • カスタマーハラスメントに関する対応体制構築に向けた Q&A
  • 公益通報者保護法の制度見直しの方向性
  • EU で新たなサイバーレジリエンス法が施行 製造業者・小売業者の対応が急務

ここでは以上のトピックの中から「カスタマーハラスメントに関する対応体制構築に向けた Q&A」をご紹介します。

「第 1 回 カスタマーハラスメント対策の導入から対応方針策定のポイント」

2024 年は、東京都をはじめとして複数の自治体でカスタマーハラスメント(以下、「カスハラ」) を防止する条例制定の動きが広がるとともに、国においてもカスハラの法制化に向けた検討が進 められた*。これまでのカスハラ対策については、厚労省の「事業主が職場における優越的な関係 を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」の中で、 相談対応体制の整備や被害者への配慮などを努力義務として求めるにとどまっていた。今後は条 例や法改正の実現によって、企業にカスハラ対策が義務付けられる流れが見込まれる。

本稿では、これからカスハラ対策に本格的に取り組む企業の後押しとなるような対策のポイン トについて、実際に弊社に寄せられた質問・疑問点を中心に Q&A 形式で掲載する。全 2 回に分け て連載し、今回は対策の導入から対応基本方針の策定、整備しておくべき事項を取り上げ、第 2 回 は相談対応体制整備とマニュアル作成のポイント等を説明していく。

Q:カスハラ対策について、何から始めてよいか分からない。

A. まずは、自社において発生しているカスハラ被害の実態を把握することが重要である。自社 が現在、もしくは過去に直面したカスハラ被害の事例、さらにはお客さま問い合わせ窓口に寄 せられた苦情等のお客さまの声等を収集・分析した結果が、対応基本方針の策定やカスハラへ の対応手順、マニュアルの作成時にも重要な情報となる。

カスハラ被害の実態把握の方法として、従業員へのアンケート調査が挙げられる。実際に起き たカスハラの被害事例、その時の対応者、具体的な対応方法等、カスハラ被害の実態を把握する 設問に加えて、会社に求める要望や取り組み等についての設問を盛り込むとなおよい。また、ア ンケートの回答結果をもとに、ヒアリング調査を行うことも有効である。ただし、その際、個人の プライバシーに配慮に留意する必要がある。

Q. なぜ対応基本方針の策定・公表が必要なのか?

A. 対応基本方針を策定・公表することには、以下のような目的がある。

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