ESGリスクトピックス(2014年8月)
2014.8.1
国内トピックス2014年6月に公開された国内のCSR等に関する主な動向をご紹介します。
<CSR調達>
トヨタ自動車が紛争鉱物問題に対する取組を公表
(参考情報:2014年6月2日付 同社HP)
トヨタ自動車は、2014年6月2日、自社HP上で、米国証券取引委員会へ提出した2013年度の紛争鉱物報告書を公表した。
同社では、2013年5月から実施する全ての事業における国内外の7,000社を超えるサプライヤーに対し、紛争鉱物の使用状況についてサプライチェーンを遡った本格的調査を開始。同報告書では、上記調査結果についても記されている。
同社は、米国政府・業界団体・市民団体等による「責任ある鉱物取引のための官民連携(ThePublic-PrivateAllianceforResponsibleMineralsTrade)」に参画しており、今後も、主要なサプライヤーへの「責任ある資源・原材料の調達」活動に対する継続的な要請に加え、紛争鉱物に関する認知度・理解度向上の啓発活動を実施するとしている。
<コンプライアンス>
金融庁が「インサイダー取引規制に関するQ&A」への設問を追加
(参考情報:2014年6月27日付 金融庁HP)
金融庁と証券取引等監視委員会は、2014年6月27日、「インサイダー取引規制に関するQ&A(2008年11月18日公表)」に自社株取引に関する設問を追加したことを発表した。
これは、2013年12月13日、「金融・資本市場活性化に向けての提言」として示された「インサイダー取引規制との関連で、上場会社の役職員等が持株保有に過度に慎重になっているとの指摘もみられる。社内ルールの見直しの働き掛けや、インサイダー取引規制の見直し等が必要と考えられる。」との意見を踏まえ、当局としての方針を公表したもの。
このなかで、業務上の重要情報を知っている、もしくは知りうる立場にいる者が自社株式を売買すること自体がインサイダー取引となるわけではなく、「不正利得を得る意図が無い取引(重要事実を知ったことと無関係に株式の売買が行われたもの)」であることが明確な場合は、インサイダー取引には該当しないことが示された。
<労働安全衛生>
厚生労働省が平成25年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を公表
(参考情報:2014年6月27日付 厚生労働省HP)
厚生労働省は、2014年6月27日、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレス等が原因で発病した精神障がいの状況およびその労災補償状況について取りまとめた結果を公表した。
とりわけ、精神障がいに関する事案の労災請求件数は、1,409件(前年度比152件増)で過去最多。支給決定件数は、436件(前年度比39件減)で4年ぶりに減少したが、依然高止まりとなっている。
<健康>
武田薬品とサノフィが糖尿病領域における啓発活動等において協力・提携することを発表
(参考情報:2014年6月30日付 武田薬品工業株式会社HP)
武田薬品工業は、2014年6月30日、サノフィ*と日本国内の糖尿病領域における啓発活動等に関する協力体制につき、契約を締結したことを発表した。
両社は、長年にわたり多くの糖尿病治療薬を開発・販売しており、本協力体制により、医療関係者に対し、多様な病態に応じた治療提案や以下のような情報提供を行うことができるとしている。
- 一般市民への糖尿病の疾患知識および糖尿病発症予防のための生活習慣の改善の啓発
- 糖尿病患者への食事・運動療法の重要性、適正な服薬に関する情報提供によるサポート
- 医療関係者への糖尿病診療における総合的な情報提供
<コーポレート・ガバナンス>
経済産業省が「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」の中間とりまとめとガイドラインを公表
(参考情報:2014年6月30日付 経済産業省HP)
経済産業省は、2014年6月30日、コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会において、「社外役員を含む非業務執行役員に期待される役割・サポート体制等に関する中間取りまとめ」および「社外役員等に関するガイドライン」を公表した。
中間とりまとめでは、社外役員のベストプラクティスと、そこから得られる示唆がまとめられている。また、社外役員等に対する企業側のサポート体制としては、人的・経済的支援だけでなく、情報提供等に関する支援および社外役員同士の連携の重要性にも触れている。
ガイドラインは、本中間取りまとめのサマリーとして、社外役員等の導入・活用に際し、手軽に参照できるツールとして策定されている。
海外トピックス2014年5,6月に公開された海外のCSR等に関する主な動向をご紹介します。
<社会貢献>
ティンバーランド、従業員の社会貢献活動が100万時間達成
(参考情報:2014年5月15日付 同社HP)
アウトドアグッズ大手のTimberland(ティンバーランド)は、従業員が行うボランティア活動の累計時間が100万時間を超えたことを発表した。
同社のCSR活動は、1992年に立ち上げた、PathofServiceというプログラムに始まった。同プログラムでは、従業員に対し、地域社会での有益で持続可能な活動を行うための時間が、有給で最高40時間分与えられる。
同社は、少なくとも32ヶ国において約4,000ものプロジェクトを行ってきており、主な活動内容は以下の通り。
- 2000年以来、世界各地で500万本の植樹を実施
- 自然災害で大きな被害を受けた地域において、国際NGOのHabitatforHumanityと協力し14棟の家屋を建設
<CSR >
国連グローバル・コンパクト、2013年度の活動報告書を公表
(参考情報:2014年6月2日付 国連グローバル・コンパクトHP)
国連グローバル・コンパクト(以下、国連GC)は、2013年度の活動報告書を公表した。同報告書には国連GCのこれまでの実績や主たる活動内容、パートナー、ガバナンス状況などについてまとめられている。
2013年の主な実績は、以下の通りであった。
- 3年に1度開催されるGlobalCompactLeadersSummit(グローバル・コンパクト・リーダーズ・サミット)やCOP19でのCaringforClimateBusinessForum(気候変動対策ビジネスフォーラム)など、45のイベントを開催
- 腐敗防止や気候変動、エネルギー問題、水問題などの社会課題に対処するためのパートナーシップや共同アクションを束ねるUNGlobalCompactBusinessPartnershipHub(国連グローバル・コンパクト・ビジネス・パートナーシップ・ハブ)を新たに設立
<CSR>
欧州委員会が国連の持続可能な開発目標に関する政策文書を採択
(参考情報:2014年6月2日付 欧州委員会HP)
欧州委員会は、ミレニアム開発目標*を引き継ぐことになる持続可能な開発目標に関する国際交渉において、EUの立場を確認することを目的にした政策文書を採択した。政策文書の主な内容は以下の通り。
- 優先すべき課題として、「貧困」、「不平等」、「健康」、「食糧確保」、「教育」、「ジェンダー」、「水・衛生」、「持続可能なエネルギー」、「ディーセントワーク」(働きがいのある人間らしい仕事)、「持続可能な成長」、「持続可能な消費と生産」、「生物多様性」、「海洋や土壌の汚染」を選定
- 目標達成にあたっては、平等や民主主義、平和な社会や非暴力などの考えに基づいて取り組む
<環境>
コカ・コーラ、1,085億リットルの水を自然界などに還元
(参考情報:2014年6月5日付 同社HP)
コカ・コーラおよびボトラー各社は、同社が掲げている水資源保護目標に対する2013年の実績を発表した。
同社は「2020年までに、製造過程および最終製品において使用された水と同等の量の水をコミュニティおよび自然界に対して安全な形で返す」という目標を掲げており、ボトラー各社と協力して様々な活動に取り組んでいる。
「WaterNeutrality(ウォーター・ニュートラリティ)」と呼ばれる同社の取組は、水資源保護、取水(使用量の管理や水源エリアの降水量の確認など)、水質管理、効率的利用、排水管理という5つの取組を通じて水資源の循環システムを作り上げることを目標とし、2013年においては、同年に販売された最終製品に使用された水の約68%に相当する水資源を還元することに成功した。現在までに、100カ国以上の地域で展開された509のプロジェクトを通じて、合計約1,085億リットルの水資源を還元したことになる、としている。
<CSR>
PRIに署名している機関投資家の運用残高が45兆ドルを突破
(参考情報:2014年6月19日付 同社HP)
PRI(責任投資原則)*は、PRIに署名している機関投資家の運用残高が45兆ドルを突破、また、署名機関も1,260以上となっていることを発表した。
運用残高増加の背景は、最新の株式市場の動向に加え、2013年4月以降だけで、海外大学基金、投資銀行、年金基金等を含む200件もの新たな署名機関が登録されたことが挙げられる。なお、日本の署名機関は、2014年1月時点で29社(全体の約2%)である。
PRI(責任投資原則):
2006年に、アナン国連事務総長(当時)により提唱された「ESG(環境:Environment、社会:Social、企業統治:CorporateGovernance)」の課題を投資の意思決定に取り込むためのイニシアチブであり、6つの原則を定めている。
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