レポート/資料

ESGリスクトピックス(2014年6月)

2014.6.1

国内トピックス2014年4月に公開された国内のCSR等に関する主な動向をご紹介します。

<コーポレート・ガバナンス>
会社法改正案が今国会で成立の見通し

(参考情報:2014年4月24日付 朝日新聞、日本経済新聞 他)

4月23日、「会社法改正案」が衆院法務委員会で可決され、今国会で成立する見通しとなった。「社外取締役を置かない場合、その理由を株主総会で説明する義務」、「過半数を社外取締役で構成する"監査等委員会"設置会社制度の創設」など、コーポレートガバナンスを強化するための改正内容が含まれている。

社外取締役の起用は、東京証券取引所の上場規定にも努力目標として盛り込まれており、起用を促進するための動きはあった。しかし、東証一部上場企業においても昨年8月時点で社外取締役が1人以上いる企業の割合は6割程度にとどまっている。

<会社法改正案のポイント>

  • 多重代表訴訟制度の新設
    親会社の株主が、完全子会社の経営陣を直接訴えることが出来るようにして、株主による監視を強化する。ただし訴訟を起こせるのは、親会社株式を1%以上保有する株主に限られる。
  • 社外取締役の導入促進
    社外取締役の導入「義務化」は見送られたが、導入しない理由を株主総会で説明することが義務付けられた。

<職場環境>
伊藤忠商事、「朝型勤務制度」を 5 月から正式導入

(参考情報:2014年4月24日付 同社HP/CSRトピックス2013年度7号)

伊藤忠商事は2013年10月1日より朝型勤務のトライアル実施を開始していたが、2014年3月31日までの国内勤務社員、約2,600名の勤務状況の検証結果を踏まえ、5月1日より正式導入することを発表した。

<主な取組内容>

  • 深夜勤務(22:00-5:00)を「禁止」とし、22:00には完全消灯、20:00以降の勤務を「原則」禁止とする。
  • 本制度の対象者に対して、現在の深夜勤務(22:00-5:00)に対して支給している割増賃金(50%)を朝9:00まで拡大して支給する。
  • 朝 8:00前に始業した社員には軽食を無償で支給する。

<情報セキュリティ>
日本企業が世界で初めて制御システムのセキュリティマネジメントシステム(CSMS)の国際標準に対する認証を取得

(参考情報:2014年4月25日付 経済産業省HP)

4月25日、社会インフラに用いられる制御システムのセキュリティマネジメントシステム国際標準IEC62443-2-1(CSMS*)に対して、三菱化学エンジニアリング(株)と横河ソリューションサービス(株)が世界で初めて認証を取得した。

電力、ガス、石油・化学プラント等の社会を支える重要なインフラを制御するシステムのセキュリティを確保することは、情報技術やネットワーク技術の進展によりサイバー攻撃の脅威が増す中、喫緊の課題となっている。こうした状況の中、国際標準化機関である国際電気標準会議(IEC)が、制御システムの製造やオペレーションを行う企業がセキュリティに関して取り組むべき組織マネジメントについて規定した国際標準IEC62443-2-1(CSMS)を2010年に定めた。

CSMS認証を取得することで、社内のセキュリティガイドラインの改善や、社員の意識や取組の向上等により、制御シテムに関するセキュリティ対策の持続的な向上が期待できる。

<労働安全衛生>
企業に「ストレスチェック」義務付ける労働安全衛生法の改正案が今国会で成立の見通し

(参考情報:2014年4月28日付 日本経済新聞他/CSRトピックス2014年度1号)

企業などに従業員の「ストレスチェック」を義務づける労働安全衛生法の改正案が今国会で成立する見通しが高まっている。健康診断のようにメンタルヘルス対策を義務付けるのは初めて。

改正案では50人以上の事業所に対して年1回、疲労や不安、抑うつなど心理的な負担の程度を把握するため、従業員へのストレスチェックを義務付ける。検査結果は従業員に通知し、「高ストレス状態」とされた従業員は医師の面接指導を受けられる。その結果、必要があれば企業は作業の転換や労働時間の短縮といった対策をとる必要がある。

厚生労働省は従来、ガイドラインなどの形で職場のメンタルヘルス対策を促してきたが、新制度導入で症状が深刻化する以前の対応を充実させることを目的としている。

<雇用>
厚生労働省が「高度外国人材活用のための実践マニュアル」を作成

(参考情報:2014年4月30日付 厚生労働省HP)

厚生労働省は、「高度外国人材*の日本企業就業促進に向けた普及・啓発事業」を実施し、有識者検討会、企業ヒアリング等を通じて「高度外国人材活用のための実践マニュアル~活用・定着で悩んでいる方へ~」を作成した。企業における高度外国人材活用の現状と課題、高度外国人材本人のニーズ等をまとめている。

構成は以下の通り。

  1. 高度外国人材活用のメリット
  2. 高度外国人材のタイプとその特徴
  3. 活用・定着に向けてのポイント
    1. 人材の採用・配置について
    2. 日々の業務での課題への対応(短期的な視点)
    3. 中核人材として育成していくための対応(中長期的な観点)

海外トピックス2014年3、4月に公開された海外のCSR等に関する主な動向をご紹介します。

<CSR>
世界で最も倫理的な企業144社を発表

(参考情報:2014年3月20日 http://ethisphere.com/worlds-most-ethical/wme-honorees

米国の企業倫理および法令遵守に関するシンクタンクであるEthiSphereInstituteは、3月20日、企業倫理と法令遵守の最良事例を広く社会に共有することを目的に「2014World'sMostEthicalCompanies(2014年世界で最も倫理的な企業)」41業種144社を発表した。日本企業からは、資生堂、花王等が「世界で最も倫理的な企業」として選出された。花王は本選出がスタート(2007年)してから8年連続の選出となった。

選出にあたっては、次の5つのカテゴリーで評価され、倫理的な経営を標榜するだけでなく、忠実にその言葉を行動に移している企業が選出された。

  • 倫理と法令順守プログラム(25%)
  • 評判、リーダーシップ、イノベーション(20%)
  • 企業統治(10%)

<環境 >
IPCC報告書:止まらぬ温室効果ガス増加~リスク回避には技術・制度の大転換が必要~

(参考情報:2014年4月14日 国際連合広報センタープレスリリース)

4月13日、気候変動に関する政府間パネル(IPCC*)が、報告書『気候変動2014:気候変動の緩和』(第5次評価報告書・第三作業部会作成)を発表した。

本報告書の目的は、「気候変動を緩和するための様々な手段」について、その効果を総合的に評価し、社会全体にどのような影響を与えるかを示すことである。この度の報告書では、世界中で様々な対策を取っているにもかかわらず、温室効果ガスの排出量が過去最大水準で増加している、と指摘。その上で、重大な環境リスクを回避する**には、「技術導入や、国際的な協力制度を構築することで可能である」としながらも「そのためには、技術への積極的な投資、国際的な協力体制の構築等の大胆な行動変革が必要」である、とまとめた。

今後、10月に開催されるIPCC総会で他の作業部会で作成された報告書と統合した「第5次評価報告書」が承認・公表されることとなり、今後の気候変動問題の国際交渉の場で強い影響力を発揮するものと考えられている。

<情報開示>
非財務情報の開示に関するEU指令案が採択される

(参考情報:2014年4月15日付 欧州連合HP)

4月15日、欧州議会は大企業に非財務情報と取締役会構成員の多様性に関する情報の開示を義務付ける指令案を採択した。本指令案の対象となる企業は、欧州域内の従業員数500人以上の公共性の高い企業(銀行、保険、その他の加盟国が指定した企業など)で、約6,000社が対象となるといわれている。

これらの企業は、社会、従業員、環境、人権、腐敗防止に関する方針、実績、主要なリスク、特定事業に関する主要業績指標(KPI)、サプライチェーン等に関するデュー・デリジェンス・プロセス等を非財務情報として毎年の経営報告書での開示が求められる。さらに、これらの非財務情報の他に年齢、性別、学歴、職歴など、取締役会構成員の多様性に関する方針の開示も求めている。情報開示においては、国連グローバル・コンパクト、ISO26000、GRI(GlobalReportingInitiative)等の国際的に認められた枠組みを活用することが可能。

<コンプライアンス>
公正取引委員会がブラジル経済擁護行政委員会との協力に関する覚書を締結

(参考情報:2014年4月24日付 公正取引委員会HP)

4月24日、公正取引委員会はモロッコのマラケシュにおいて、ブラジル連邦共和国の競争当局である経済擁護行政委員会との間で、競争当局間の協力に関する覚書を締結した。両国における効果的かつ透明・公正な競争法執行を通して、競争法及び競争政策の分野の進展・関係の強化を目指している。

近年、複数国の競争法に抵触する事案等が増加するなど、企業活動の国際化及び競争当局間の協力・連携強化の必要性が高まっていることを受け、公正取引委員会においても外国の競争当局との間で緊密な協力を行っている。

<CSR>
P&Gの「子どもたちのための安全な飲み水プログラム」が70億リットルに到達

(参考情報:2014年4月25日 同社HP)

4月15日、P&G(ザ・プロクター・アンド・ギャンブル・カンパニー)は、同社の非営利活動である「子どもたちのための安全な飲み水プログラム(CSDW:Children's Safe Drinking Water Program)」が、70億リットル目のきれいな飲料水をブラジルの家族に提供したと発表した。一袋4グラムの簡易浄水剤で、10リットルの汚れた水をきれいな飲料水に転換する浄水テクノロジーを同社は提供。

世界中の10億人以上の人々が日々、安全な飲料水の不足という問題に直面している中、CSDWは2004年のスタート以来、世界の140以上のパートナーと協力してきれいな飲料水を提供し、推計39,000人の命を救ってきたという。

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