ESGリスクトピックス(2012年9月)
2012.9.1
国内トピックス2012年7・8月に公開された国内のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。
<コンプライアンス>
証券取引等監視委員会が金商法違反による課徴金事例集を発表
(関連情報:2012年7月6日 証券取引等監視委員会ホームページ)
証券取引等監視委員会は7月6日、2011年5月から2012年5月までの間に、金融商品取引法違反による課徴金納付命令が発せられた事例をまとめた事例集を発表した。
課徴金納付命令に関する勧告件数および課徴金額の統計だけでなく、「インサイダー取引」「相場操縦」「開示規制違反」のそれぞれについて、課徴金勧告事案の特色と個別事例を掲載している。中でも勧告件数がもっとも多い「インサイダー取引」については、勧告事案の特色として以下のようにまとめている。
- 違反行為に係る重要事実の多様化
- 公開買い付け等事実に係るインサイダー取引の増加
- 違反行為者の8割が情報受領者(インサイダー取引規制を受ける関係者から情報を受け取った者)で、このうち、重要事項を職務上知り得る立場にある役員や部長クラスの職員が不用意に自社のインサイダー情報の外部者へ伝えたことで、情報受領者がインサイダー取引を行った事例が半数以上
<コーポレート・ガバナンス>
社外取締役選任企業、独立取締役選任企業ともに前年比増
(関連情報: 2012年8月1日 日本取締役協会ホームページ)
日本取締役協会が発表した『上場企業のコーポレート・ガバナンス調査( 2012)』によると、東証 1部上場企業 1,676社のうち、社外取締役を選任している企業が 908社(全体の 54.2%)、このうち一般株主と利益が相反する恐れのない「独立取締役」を選任している企業が 908社(全体の 37.5%)であることがわかった。社外取締役選任企業、独立取締役選任企業ともに前年比増となった。
Point!
上記調査によれば、社外取締役選任企業数、独立取締役選任企業数ともに年々緩やかな増加傾向にあります。
7月18日に公表された会社法改正の要綱案では、社外取締役の選任義務化は見送られたものの、同取締役を導入しない場合に投資家への説明責任を果たすことが求められています。企業経営に対する監視監督・提言機能の強化を求める市場・海外投資家等からの要請は今後一層強まるものと思われます。
<コーポレート・ガバナンス>
会社法改正の要綱案で多重代表訴訟制度が盛り込まれる
(関連情報:2012年8月6日 日本経済新聞、法務省ホームページ)
法制審議会の会社法制部会は、2012年7月18日の会合で、会社法改正の要綱案を示した。本要綱案では、主な論点であった社外取締役設置の義務化が見送られる一方、多重代表訴訟制度が盛り込まれた。
多重代表訴訟制度とは、ある会社の株主が、自ら株式を保有する会社だけでなく、その子会社の役員に対しても株主代表訴訟を提起できる制度である。
主な要件は以下の通り。
○原告については、
- 最終完全親会社の株主に限定
- 少数株主に限定(=総株主の議決権の100分の1以上の議決権または当該最終完全親会社の発行済株式の100分の1以上の数の株式を有すること)
海外トピックス2012年7・8月に公開された海外のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。
米国企業で、環境・社会リスクへの対応求める株主提案が増加
(関連情報:2012年7月10日 Ceres プレスリリース)
米の環境団体Ceres(セリーズ)(*)によると、米国企業の株主総会で、環境や社会的リスクへの対応の明確化や強化を企業に求める株主提案が増加し、また会社が提案の実施を確約する割合が高まっていることが分かった。
Ceresの7月10日付プレスリリースによると、2012年度の株主総会シーズンにおいて、環境・社会的リスクへの対応を求める株主提案は、同団体が把握しているだけで110件に上った。そのうち44件で、総会決議により実施が決まったという。また、同リリースで引用された他のデータによると、同年度内の米国企業での全株主提案のうち環境・社会的リスク対応関連が45%を占めたという。2010年度(30%)から2年間で大きく増加したことが分かる。
株主提案の提案者は、公務員の年金基金や宗教、社会的責任投資(SRI)系ファンド等が主で、主導的な提案者の資産総額は、4850億ドル(約38兆円)に上るという。
全文はPDFでご覧いただけます