レポート/資料

ESGリスクトピックス(2012年8月)

2012.8.1

国内トピックス2012年6・7月に公開された国内のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。

<コーポレート・ガバナンス>
会社法改正に向けて法務大臣への答申案が固まる~社外取締役の義務化は見送り

(関連情報:2012年7月18日 法務省ホームページ)

法制審議会の会社法制部会が7月18日の会合で、会社法改正の要綱案を示した。今回の要綱案では、監査・監督委員会設置会社や多重株主代表訴訟等の制度が盛り込まれたが、大きな論点の一つであった社外取締役設置の義務付けについては見送られた。

なお、本要綱案において、上場会社において社外取締役を設置しない場合は、その理由を事業報告書に記載することが求められた。

今回の原案をもとに8月中に最終案をまとめ、9月に法務大臣に答申する予定。法務省は今秋に想定される臨時国会に会社法改正案を提出する予定。

Point!

今回の要綱案においては、社外取締役の義務化は見送られました。しかし、日本企業が適切なコーポレート・ガバナンスの実現に向けて、社外取締役に期待されているといわれる業務執行への監督機能や経営提言機能などをいかに確保するのかという点に、今後も海外投資家などの厳しい目が向けられると予想されます。

<役員賠償責任>
株主代表訴訟の訴訟係属件数(2011年12月末現在/地裁)は215件、1993年以降最多

(関連情報:2012年6月25日 旬刊 商事法務 No.1969)

地方裁判所における株主代表訴訟の訴訟係属件数は、2011年12月末時点で215件であることが、最高裁判所の調査により明らかとなった。

地方裁判所における株主代表訴訟の訴訟係属件数の推移は下図のとおりである。

Point!

地方裁判所における株主代表訴訟の訴訟係属件数は、1999年の202件をピークに減少傾向にあったものの、 2006年以降再び増加に転じ、2011年は1993年(商法改正)以降最多の215件となりました。企業経営を取り巻く環境が厳しいことや企業不祥事も未だ絶えないことなどを背景に、役員の経営判断に対する株主の目が一層厳しくなっていることの表れであると想定されます。

株主代表訴訟リスクへの対策としては、役員が善管注意義務を果たすことに尽きます。同義務を果たしていたと主張できるよう、適正なコーポレートガバナンス、内部統制システムを構築していくことが、代表訴訟の予防・防御の双方において有効です。

<コンプライアンス>
公正取引委員会が、平成23年度における課徴金減免制度の申請件数が過去最高と公表

(関連情報:2012年6月6日 同委員会ホームページ)

公正取引委員会は、2012年6月6日、「平成23年度における独占禁止法違反事件の処理状況について」の報告書を、同委員会のHP上で公表した。

同報告書には、公正取引委員会による法的措置等の概況、課徴金納付命令の状況とその総額、課徴金減免制度の申請件数、独禁法違反行為類型別の事件概要等が記載されている。

このうち、平成23年度における課徴金減免制度の申請件数は、過去最高の 143件であることが分かった。

なお、課徴金減免制度の申請件数の推移は以下の通り。

Point!

課徴金減免制度は、事業者が自ら関与したカルテル等について公正取引委員会に報告した場合に課徴金が減免されるもので、早期に報告するほど、減免額が大きくなります(1社目:100%、2社目:50%、3社目以降:30%)。

<CSR>
厚生労働省が障がい者の法定雇用率の引き上げを公表

(関連情報:2012年6月14日 朝日新聞、同省ホームページ)

厚生労働省は、本年6月20日、民間企業における障がい者の法定雇用率を、2013年4月1日以降より、現行の1.8%から2.0%に引き上げると発表した。

「障がい者の雇用の促進等に関する法律」では、事業主に対して、その雇用する労働者に占める身体障がい者・知的障がい者の割合が一定率(法定雇用率)以上になるよう義務付けている。同義務を履行しない場合、雇入れ計画作成命令などの行政指導がなされるとともに、その後の改善も見られない場合、企業名が公表されることとなる。

Point!

本措置は、企業に課す法定雇用率を引き上げて、障がい者の雇用水準を高めようとするものです。障がい者雇用の推進に対する社会的要請が高まっていることの表れであり、企業としても、障がい者雇用により積極的に向き合うことが求められているといえます。

障がい者雇用にあたっては、雇用する企業の全役職員がその趣旨・目的を正確に理解するとともに、障がい者の安全確保のための施設・設備の改善など、様々な課題を解決しなければならないことも事実です。

海外トピックス2012年6月に公開された海外のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。

国連グローバル・コンパクトが大学等向けに同原則適用のための指針を作成

(関連情報:2012年6月16日 国連グローバル・コンパクトプレスリリース)

国連グローバル・コンパクト(GC)は6月16日、大学等の高等教育機関が国連GCの10原則を署名・適用し実践するためのガイドライン「A Practical Guide to The United Nations Global Compact for Higher Education Institutions」を作成・公表した。

同ガイドラインは、国連GCが欧米等8大学と共同で作成。大学等に対して、自身が組織として国連GCの10原則(人権、労働、環境、腐敗防止)を事業活動において実践すると同時に、次世代の政治や経済等のリーダーの養成機関として同原則を熟知した人材を育てる役割・責任の両方を求めている。

それらの目的を果たすため、10原則に即して大学等として実践すべき活動等の具体例を次のように挙げている。

コカ・コーラ等米国の主要企業が100%植物由来PET繊維の共同開発に着手

(関連情報:2012年6月5日 コカ・コーラ社プレスリリース)

飲料大手コカ・コーラ等米国の主要企業5社は6月5日、植物由来の原料100%の合成繊維(PET、ポリエチレンテレフタレート)を共同開発するためのワーキンググループを立ち上げることを明らかにした。

ワーキンググループは、コカ・コーラのほか、フォード・モーター(自動車)、H.J.ハインツ(食品)、P&G(日用品)、ナイキ(運動用品)と、いずれも各業種で世界的に事業展開している企業で構成される。各社は、100%植物由来PETの実現や自社製品への使用の促進を共同で実施するとともに、PET繊維の用途の拡大や性能・仕様の世界的な標準の策定等を目指すという。

例えば、コカ・コーラでは、植物由来原料を一部(5~30%)含む「PlantBottle」を導入した製品を既に販売しており、同社からライセンスを受けたハインツが自社の一部のケチャップ商品の容器に「PlantBottle」を活用する、といった連携がなされている。

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