ESGリスクトピックス(2012年3月)
2012.3.1
国内トピックス2012年1月に公開された国内のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。
<CSR>
経済産業省が震災復興版の「ソーシャルビジネス・ケースブック」を作成
(関連情報:2012年1月13日 経済産業省ホームページ)
経済産業省は、東日本大震災の被災地復興の一手法として注目を集めつつあるソーシャルビジネス(※)の普及拡大に向け、被災地の復興に貢献する事例を取りまとめ、ケースブックとして作成した。
ケースブックには、被災地の生活支援ニーズを解決する事例や新たなビジネスモデルとして被災地から全国への波及が期待される事例など、27事例を紹介している。
社会的課題(町おこし、少子高齢化、環境、貧困問題など)をビジネスとして事業性を確保しながら自ら解決しようとする活動。(CSRトピックス2010年No.11参照)
Point!
東日本大震災の被災地支援として、多くの企業が、義援金・寄付金の提供、自社製品・サービスの無償提供、ボランティア活動などを行ってきました。
震災から1年近くが経過した現在、被災地の支援ニーズも当座の生活の復旧から、本格的な生活・事業環境の整備へと変わりつつあると思われます。
<危機管理>
東京都が帰宅困難者対策の基本的な考え方を公表
(関連情報:2012年1月28日 産経ニュース、東京都ホームページ)
東京都は、東日本大震災の教訓や首都直下型地震において更なる帰宅困難者の発生が想定される点を踏まえ、「東京都の帰宅困難者対策の基本的考え方」を取りまとめ、公表した。
この基本的考え方の中で、東京都は、帰宅困難者の発生による混乱を防止するための「むやみに移動を開始しない」という基本原則を示すとともに、同基本原則を実効あるものとするため、企業に対し、例えば以下のような一斉帰宅抑制のための取組の実施を求めている。
今後、条例で明文化することを検討する予定。
〔従業員等の待機・備蓄〕
- 首都直下型地震の発生により、首都圏のほとんどの交通機関が運行停止となり、当分の間復旧の見通しが立たない場合には、事業所建物や事業所周辺の被災状況を確認の上、従業員等の安全を確保するため、一定期間事業所内に留めておくように努めること
<情報セキュリティ>
政府がサイバー攻撃訓練結果の概要を発表
(関連情報:2012年1月20日 日本経済新聞、内閣官房情報セキュリティセンター)
相次ぐ企業へのサイバー攻撃を受け、政府の内閣官房情報セキュリティセンターは、政府職員を対象にサイバー攻撃訓練を実施し、その結果を中間報告として発表した。
訓練は、対象者である官庁などの職員6万人に事前教育を実施した上で、添付ファイルを開いたり、メール本文に記載されたURLへアクセスするとコンピューターウイルスに感染する「標的型不審メール」を送り、感染の可能性がある行動を確認するもの。
先行して実施した添付ファイル付メールについては職員の約10%が誤って開封し、次に実施したリンク付メールについては約3%がクリックするという結果となった。
Point!
標的型不審メールなどによる企業の被害例や本結果からも分かるように、サイバー攻撃の脅威は、従業員に十分に認識されているとは言えません。セキュリティ対策の最新化により個人の意識やリテラシーに依存しない防御策を講じるとともに、上記訓練などの手法も活用し、役職員への継続的な周知・教育を行うことが重要です。
<パワーハラスメント>
厚生労働省のワーキンググループが職場のパワーハラスメントの定義や行為類型などを公表
(関連情報:2012年1月31日 日本経済新聞、同省ホームページ)
厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」は、職場の「いじめ・嫌がらせ」や「パワーハラスメント(以下、パワハラ)」が近年社会問題として顕在化してきている状況を踏まえ、予防・解決に向けた議論を進めてきた結果、今般、パワハラの定義や行為類型などを整理し、公表した。同ワーキング・グループは、報告書の中で、職場のパワハラについて、以下のように定義している。
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(※)を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。
上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。
海外トピックス2012年1月に公開された海外のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。
企業の現物寄付は「経済的メリットが大」とする報告書が公表
(関連情報:2012年1月24日 インディアナ大学プレスリリース)
米国のインディアナ大学行政環境大学院は1月24日、企業が貧困層の支援のために自社製品の現物を寄付することは、寄付の提供対象者の支援となるだけでなく、一定条件下では企業にとっても経済的なメリットが大きいことを立証したとの報告書を発表した。
報告書では、自社の製品在庫を処理する際の、現物寄付、処分価格での売却および廃棄の3通りの方法について、保管や輸送、処分等に要する費用を試算した結果、寄付が最も費用が少ない上、かつ経済的なメリットが大きいと結論付けた。それは、現物寄付は、費用の低減のほかに、以下を金銭換算した効果を考慮した結果としている。
- 現金寄付に比べて課税控除の効果が大きい
- 支援物資の提供に積極的な企業というアピールができるため、マーケティング・広告効果を低コストで期待できる
米ハーシーズがチョコ原料カカオ農家の生活支援取組を実施
(関連情報:2012年1月30日 同社プレスリリース)
米国のチョコレート製造最大手ザ・ハーシー・カンパニー(通称ハーシーズ)は1月30日、今年後半を目途に一部の同社ブランドのチョコレートの原料となるカカオを、持続可能性に関する認証を受けた農家のみからの調達に切り替えると発表した。同時に、主な調達先である西アフリカ諸国(ガーナ等)のカカオ農家やコミュニティの生活改善を支援する取組に、2017年までに計1000万ドル(約8億円)を充てる計画を発表した。
今回の取組は、米国の環境団体レインフォレスト・アライアンスと連携して実施するもので、認証も同団体に依頼する。同認証は、生産農家が経済・環境・社会の3つの側面で持続可能な状況にあるかを検証。農家の最低賃金の確保といった経済面や土壌と水の保全や危険な農薬の禁止等環境面での配慮のほか、社会面で、安全・清潔な労働環境、家族への医療の提供、子どもの教育の確保等の条件が設定されている。
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