ESGリスクトピックス(2012年1月)
2012.1.1
国内トピックス2011年11~12月に公開された国内のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。
<コーポレートガバナンス>
法務省が「会社法制の見直しに関する中間試案(第1次案)」で多重代表訴訟制度の是非に関する案を取りまとめる
(関連情報:2011年11月16日 法務省ホームページ)
法務省の法制審議会会社法制部会は、2011年11月16日、会社法の改正に向け、「会社法制の見直しに関する中間試案(第1次案)」を公表した。
今回の会社法制の見直しにおいては、企業統治の在り方、親子会社に関する規律が議論されており、後者の規律の一環として、親会社株主の保護の観点から、多重代表訴訟制度(株式会社Bの親会社Aの株主が、自ら株式を保有するAだけでなく、Bの役員に対しても株主代表訴訟を提起できる制度)の是非に関する案が取りまとめられている。
概要は以下のとおり。
【A案】多重代表訴訟を提起することを認める制度を、次のとおり創設するものとする。
- 原告は親会社(100%親会社に限る)の株主に限定し、かつ、株式の継続保有要件の設定(提訴請求の6ヶ月前から継続的保有)
<リスクマネジメント>
防衛省が情報セキュリティ対策の強化を調達先に要請
(関連情報:2011年11月15日 同省ホームページ、日本経済新聞)
防衛省は、防衛関連企業などへのサイバー攻撃を受け、調達における情報セキュリティ確保に関する取組みを発表した。
保護すべき情報が含まれる装備品を調達する場合に設けている特約を改正し、企業側に①問題発生時の防衛省への迅速な報告の義務付け、②セキュリティ対策の強化、③社員への教育訓練の強化について、より厳格な対応を要求する内容となっている。
①ではウイルス感染や不正アクセスがあった場合直ちに報告すること、②では週1回以上のウイルス対策や24時間体制での情報流出監視、アクセス記録の3ヶ月以上保存すること、③では標的型メール(関係者になりすましてメールにウイルスを仕込むもの)対策を役職員に周知徹底するよう要請している。
<リスクマネジメント>
シマンテックがサイバー攻撃に対する中・小規模企業の意識調査の結果を公表
(関連情報:2011年11月17日 同社ホームページ)
シマンテックは、セキュリティの脅威に対する中・小規模企業の意識の度合い、およびこれらの脅威への対応状況を調査し、2011年11月17日、「2011年中・小規模企業の脅威に対する意識調査(2011 SMB Threat Awareness Poll)」を公表した。
本調査は、世界各国・各地域の1,900社のコンピュータ資産を管理する担当者を対象に電話で実施。調査対象の企業の内訳は、従業員5人から49人の企業が25%、従業員50人から99人の企業が25%、従業員100人から249人の企業が25%、従業員250人から499人の企業が25%。調査結果には、日本、オーストラリア、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、韓国、タイ、ベトナムの10カ国、700名の回答が含まれている。
調査結果の概要は、以下のとおり。
<リスクマネジメント>
資生堂がグループソーシャルメディアポリシーを策定
(関連情報:2011年12月6日 日経産業新聞、2011年12月7日 同社ホームページ)
資生堂は同社グループにおいてソーシャルメディアを積極に活用するため、「ソーシャルメディアポリシー」を制定した。ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアによる情報発信が身近かつ有用な手段となっている一方で、不適切な発言が個人や企業の信用失墜や攻撃対象となっている実態に対応した。
ポリシーの目的は、ソーシャルメディアの利用制限ではなく、その特性やリスクを理解したうえで適切に利用することとしている。ポリシーは、ソーシャルメディアへの参加目的などを記載した「原則」と詳細な利用ルールを定めた「ガイドライン」で構成されている。ガイドラインは、個人として使用する際のルールを定めた社員用と企業を代表して使用する際の公式アカウント用が用意されている。
海外トピックス2011年11月に公開された海外のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。
米国商工会議所が企業市民賞受賞者を発表
米国商工会議所ビジネスシビックリーダーシップセンター(BCLC)は11月18日、主催する企業市民賞の受賞企業を発表した。この賞は毎年発表されており、今回で第12回目。受賞企業は以下のとおり。
Point!
過去の同賞の受賞理由には、ボランティアや教育・職能訓練等の取組に対するものが多かったのに対し、今年度は4つのうち3つのカテゴリーで疾病問題や健康問題への取組が受賞しました。これは、近年、特に貧困層の健康が米国内で深刻な社会問題化している中で、当該問題解決に向けて、企業に求められる役割を遂行したことが受賞の背景にあると推察されます。
本件は、企業において、その時々の重要な社会的課題、ステークホルダーの期待を的確に捉え、自社の強み・ノウハウを生かして課題の解決・改善に実効的に貢献していくことが望まれていることを改めて示す事例といえるでしょう。
2011年度贈賄指数を発表、新興国において贈賄レベルが高い傾向に
(関連情報:トランスペアレンシー・インターナショナルホームページ http://bpi.transparency.org/press/)
世界各国における汚職・贈賄に関する調査、監視を目的とした非営利団体のトランスペアレンシー・インターナショナルは11月2日、2011年度の「贈賄指数」を発表した。この指数は、G20(20カ国・地域首脳会議)参加国およびその他海外直接投資や輸出額で世界上位にある8カ国・地域(両者を合せると世界の78%を占める)の経営者、管理職約3000人を対象に、企業が海外で活動する際に進出国・地域の政府関係者などに対して支払う賄賂の実態および当該政府への影響力を調査し、指数化したもの。適正な商取引が行われているほど指数が高い。
指数が最も高かったのはオランダとスイスで、日本は4番目にランクインした。一方で、指数がもっとも低かった国はロシアで、中国、メキシコが続いた。
Point!
昨年のG20ソウル・サミットで「腐敗行為対策行動計画」が採択される等、国際的にも海外進出企業による進出地域での贈賄問題が喫緊の課題と認識され、各国政府が自国の政府関係者への海外企業による贈賄行為の厳罰化に向けた法改正や運用強化を進めています。
米環境団体CERESが、米環境規制で新規雇用創出効果との分析を発表
(関連情報:2011年11月17日 同団体プレスリリース)
世界の主要な機関投資家で構成し、投資先企業に事業活動による環境への影響(温暖化ガス排出量等)に関する情報開示を求めている非営利組織「環境に責任を持つ経済のための連合(CERES)」は、11月17日に発表した分析レポートで、米国環境保護庁(EPA)が企業等を対象に適用を検討中の環境規制が、雇用創出等の経済的なプラス効果を生じるとの見通しを示した。
レポート名は、「新たな雇用と大気の清浄化第2編―米国のビジネスと雇用への投資(New Jobs. Cleaner Air PartII:An investment in American Businesses and AmericanJobs)」。同レポートでは、EPAが現在検討中の、主に設置後 50年以上の旧式の石炭を使った発電設備を対象にした「州境をまたぐ煤煙の排出量の削減」と「水銀や鉛、ヒ素、酸性ガス等の有害物質の排出の削減」の二つの環境規制を分析。この規制対応により、全米総額で940億ドル(約7.2兆円)以上の設備投資と、設備の製造や建設・設置等の要員として100万ドル当たり11人の新規雇用が創出されるという。
ノボノルディクスが動物実験の廃止を発表
(関連情報:2011年11月28日 同社プレスリリース)
デンマークの製薬大手ノボノルディクスは11月28日、薬品の開発・製造において今後、生きた動物による実験を一切行わないと発表した。
同社によると、同日に血友病用薬剤の品質管理のために実施したのを最後に、以降は動物実験を廃止。今後は、ハムスター等の動物の細胞を使用した実験に切り替えるという。
同社では、社内タスクフォースにおいて10年以上にわたり試験に使用する動物の削減や代替試験方法の研究を継続した結果、今般、動物実験と同等の品質・安全性が確保できる試験方法を確立したため、今回の決定に至った。
Point!
製品開発等における動物実験については、動物保護の観点から多くの化粧品や医薬品会社、その他の各種研究機関等が、「3R(Replacement:代替方法の利用、Reduction:使用動物数の削減、Refinement:苦痛の軽減)の原則」の自主規制を実施しています。また、欧州を中心に法令による規制強化に向けた動きがあります。
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