ESGリスクトピックス(2011年12月)
2011.12.1
国内トピックス2011年10月に公開された国内のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。
<リスクマネジメント>
東京都が「ブラインド」方式の防災訓練を実施
(関連情報:2011年10月29日 日本経済新聞、東京都ホームページ)
東京都は、小平・西東京・武蔵野・小金井の4市と共同で首都圏直下型地震などを想定した総合防災訓練を10月29日に実施した。
訓練は、東日本大震災の教訓も踏まえ、実践的な内容で実施された。その一環として、シナリオを訓練参加者に予め知らせないブラインド方式の訓練も実施された。
例えば警察・消防等が連携した大規模な救出救助訓練や、医薬品を含む大量な緊急支援物資の仕分けや避難所からの多様な要望への対応などを実施する緊急支援物資搬送訓練、避難所等におけるトリアージ(重篤な傷病者から優先的に治療を行うことを目的に優先順位付けを行うこと)、医療措置などの医療救護班活動訓練が、ブラインド方式で行われた。
Point!
震災における緊急時対応は、組織体制や具体的な対応手順をルール・マニュアル等で定めるだけでなく、それらルール等が発災時に「本当に機能する」ものにすることが重要です。
<リスクマネジメント>
TOTOが防災格付融資制度を活用して耐震対策を前倒しで実施
(関連情報:2011年10月31日 同社ホームページ)
TOTOでは阪神淡路大震災以降、重要施設から順次建物・設備の耐震診断・補強を実施している。既に全拠点の7割を完了させているが、東日本大震災をうけ、残り3割の拠点を前倒して完了させると発表した。
耐震診断・補強に必要な費用については、日本政策投資銀行(DBJ)の新「DBJ防災格付」融資制度※を活用する。TOTOによると、事業継続対策の継続的な取り組みが高く評価され、最優遇金利での資金調達が可能となった。
防災および事業継続対策が優れた企業を評価・選定し、評価結果に応じて融資条件を設定する制度。予防対策にとどまらず、危機発生後の戦略・体制等を含めた危機発生時における事業継続対策を重点的に評価する。
Point!
本事案は、通常であればコストや時間がかかるハード面の地震対策について、防災格付融資制度を活用することで、資金調達とスケジュールの前倒しを図ったものです。
<コンプライアンス>
公正取引委員会が国際航空貨物利用運送事業者らによる価格カルテル事件について審決、1社が課徴金減免制度を利用
(関連情報:2011年10月19日 公正取引委員会ホームページ 他)
公正取引委員会は、2011年10月19日、国際航空貨物利用運送事業者らによる価格カルテル(*)に関する排除措置命令および課徴金納付命令に係る審判請求を棄却する旨の審決を行った。
本件では、1社が課徴金減免制度を利用することにより、課徴金を30%減額されている。
公正取引委員会によると、申告件数の推移は以下のとおりと公表されている。
Point!
公正取引委員会は、課徴金減免制度について、制度導入後(2006年1月以降)の申告件数の推移に対して、同制度が順調に定着していると評価しています。また近年では、課徴金減免制度を利用すれば会社の損失を軽減できたにもかかわらず、減免の機会を失った過失があるとして、課徴金と同額の損害賠償を求めて株主代表訴訟を提起したケースも生じています。
万が一、法令違反またはそのおそれのある行為が発覚した際にも、早期に事態を把握して自浄作用を発揮し、社会に対し説明責任を果たすことによって、当該企業への影響を最小化することが経営者には求められています。
<ワーク・ライフ・バランス>
佐賀県が「ゆとりチャレンジ」参加企業等を募集する
(関連情報:2011年10月13日 西部読売新聞、佐賀県ホームページ、厚生労働省ホームページ)
厚生労働省をはじめ各地方公共団体において、11月をゆとり創造月間と位置づけた上で、労働時間短縮の広報・啓発活動に取り組む動きが見られる。
佐賀県は、2011年11月1日から30日まで、当該期間を通してまたは期間中のいずれかの時期に、ノー残業や年次有給休暇の取得などに取り組む「ゆとりチャレンジ」に参加する県内企業及び事業所等(部署ごとでも可)を募集する。
企業等は、所定の用紙で申込の上、以下のような取組みを「チャレンジ宣言書」に記入し、実践する。記入内容については、県のホームページや広報誌で紹介される。
<例>
- 11月○日をノー残業デーとします。
- 11月○日~○日をノー残業ウィークとします。
- 11月○日を年次有給休暇の計画的付与制度により一斉休業します。
海外トピックス2011年10月に公開された海外のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。
マクドナルドが、使用パーム油全量を2015年までに持続可能製品に切替えることを発表
(関連情報:2011年10月19日 同社プレスリリース)
外食チェーン世界最大手のマクドナルドは10月19日、「持続可能なパーム油の円卓会議(RSPO)」への参加を発表した。併せて、2015年までに店舗での調理や食材の加工等で使用する パーム油の全量を同円卓会議の認証を受けたもののみに切替える方針を明らかにした。
パーム油は、食品のほか洗剤やバイオ燃料等の原料に広く使用されている上、生産効率が高いため、世界の植物油生産の4分の1以上を占める。一方で、熱帯雨林を減少させているとして大規模なプランテーションによる生産方法に対する世界的な批判が高まっている。こうした動きを受けて、パーム油の持続可能な開発の世界基準を策定するため、生産者および精製・卸、メーカー、小売り、金融、環境保護組織等が参加しRSPOが設立。2011年11月時点で、700以上の企業・組織が参加している。
マクドナルド社の今回の方針は、同社が今年3月に発表した「持続可能な土壌・資源管理計画(SLMC)」の一環。同計画では、同社事業の主要な材料である牛肉・鶏肉・コーヒー・パーム油・包装用繊維を、持続可能な製造方法によるものへの切替えを目指している。
米非営利団体が企業の効果的な災害支援活動のガイドブックを発刊
(関連情報:ネットワーク・フォー・グッド ホームページ)
企業の社会貢献活動を支援する米国の非営利団体ネットワーク・フォー・グッドは10月18日、大規模自然災害発生時等に、企業が迅速かつ効果的に募金・寄付やボランティア等の被災地支援活動を実践するためのガイドブックを発刊した。
ガイドブックの名前は「How to Help - 5 Steps to Effective Corporate Disaster Giving Campaigns(企業が効果的な災害支援活動をするための5つのステップ)」。同団体は、2001年9月の米国同時多発テロ発生時に、米国IT大手のAOLやシスコ、ヤフー各社の米国赤十字への寄付を支援するために発足。以降、世界6万組織以上の支援団体等に総計5.5億ドル(435億円)の企業寄付を仲介した経験に基づき、教訓をまとめた。
ガイドブックは、過去の事例によると顧客や従業員等の募金額は災害発生後約1週間で急増するものの、その後ニュース露出の減少等に一気に減少すると分析。
欧米で日本企業の競争法違反による制裁金の賦課や罰金の支払い命令が相次ぐ
(関連情報:下記参考資料の通り)
欧米各国において、カルテル等企業の不正競争行為に対する当局の規制が強化される中、本年9月から10月にかけて、米国および欧州において日本企業が相次いで競争法違反による制裁金の賦課や罰金の支払い命令を受けた。
主な事例は次の通り。特に、罰金の高額な事例としては、参考情報③の事案で、「10年間にわたり他社と価格操作や不正入札を行った」とする米国司法省の起訴事実を企業側が認めた上で、両者間で、罰金2億ドルの支払いと関与した企業の社員3名が最長1年半の禁固刑に服することが合意された。
Point!
競争法違反については欧米諸国を中心に取締りを強化するとともに、制裁金、罰金の額が高額化の傾向にあり、さらに、競争法違反の捜査にあたって日米欧の当局が相互に情報を提供し合う協定が結ばれるなど、企業にとっては競争法違反のリスクが高まっているところです。
クラフトフーズの従業員2万5千名が世界72カ国で社会貢献活動を実施
(関連情報:同社ホームページ
http://www.kraftfoodscompany.com/MediaCenter/country-press-releases/us/2011/Pages/multi_me dia_10312011.aspx)
食品・飲料世界最大手の米クラフトフーズは10月31日、同社が定めている10月第一週の社会貢献活動週間「Delicious Difference Week」において、本年度は約72カ国で、約25,000名の従業員が社会貢献活動に参加したと発表した。今年度で3回目を迎え、参加従業員の数はこれまでで最大規模。
世界各国の現地法人が、各々で設定したテーマに従って社会貢献活動を実施。取組テーマとしては、飢餓の撲滅運動、健康的なライフスタイルの促進、災害救援活動等がある。具体的な取組例は以下のとおり。
<中国>
従業員1000名以上が、農村部の幼児・児童の栄養状況の改善を目的に、小学校での健康、栄養、体力に関する出張授業や菜園作りを実施
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