レポート/資料

ESGリスクトピックス(2011年8月)

2011.8.1

国内トピックス2011年4・5月に公開された国内のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。

<ワークライフバランス>
三井不動産が自社の所有・管理するオフィスビルに事業所内保育所を誘致

(関連情報:2011年4月4日 同社ホームページ)

三井不動産は、同社が所有・管理するオフィスビル(「三井二号館」、「新宿三井ビルディング」)に、事業所内保育所(企業等が従業者の子どもを対象として、事業所内または隣接地に設置する保育所)を誘致した。

その目的は、女性従業者数の増加による出産休暇や育児休業の取得増加、男性従業者の育児休業の取得など、育児に関する様々なニーズが高まっている状況下において、本社が所在する日本橋に事業所内保育所を設けることで、自社従業員の多様な働き方を支援する点にある。

また、自社のオフィスビルに入居するテナント企業においても、同様のニーズがある一方、自社単独で事業所内保育所を設けることは負担が大きいという状況を考慮し、テナント企業も利用可能な事業所内保育所とする。

同社は、今後霞ヶ関など他の地域のオフィスビルにおいても、事業所内保育所の誘致を計画している。

<事業継続計画(BCP)>
IT各社がクラウドサービスを拡充

(関連情報:2011年2011年4月20日 日本経済新聞、日本IBM・日本マイクロソフト各社ホームページ 他)

IT各社がクラウドコンピューティングのサービスの拡充に力を入れている。日本IBMは、放送業界向けでは初となるクラウドコンピューティング環境を構築すると発表した。また、日本マイクロソフトは、ワードやエクセルなどの既存のオフィスソフトに加え、電子メールやスケジュール管理など業務に必要なソフトをクラウドで提供する。ヤフー子会社のIDCフロンティアでは、従来の首都圏での提供から西日本地域でもデータセンターを稼動させ、利用者がクラウドサービスの提供地域を選択できるようにした。

クラウドコンピューティングは、業務ソフトやデータをクラウドのデータセンター内に置くことから、自社の重要データを含む情報資産が被災・滅失しても、クラウドコンピューティングを利用できるインフラ(パソコンやインターネットへの接続環境など)が無事、または復旧できれば、対象業務の早期復旧と継続が可能となるため、企業のBCPの実効性を高める有効な手段の一つといわれている。

<コンプライアンス>
中小企業庁が「下請取引コンプライアンス・プログラムで競争力をつける」~社内体制整備のすすめ~」を策定

(関連情報:2011年5月16日 経済産業省および同庁ホームページ)

中小企業庁は、下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」という)の遵守のための社内体制整備を促進し、下請法違反を未然に防止するため、「下請取引コンプライアンス・プログラムで競争力をつける!~社内体制整備のすすめ~」を策定し、公表した。同庁は、本プログラム策定の背景に、下請法への理解度、業界慣行、社内チェック体制など親事業者側の問題や、立入検査により多くの企業が改善指導を受けている等の実態を挙げている。

プログラムの概要は、以下のとおりである。

1.下請取引コンプライアンス・プログラムの内容
  1. Step1 下請法の理解と社内への周知
  2. Step2 下請法遵守に係る社内体制の整備
  3. Step3 下請法取組状況のチェック
  4. Step4 課題の整理と改善策の立案
<CSR>
日産自動車やキーコーヒーが、株主と協力した被災地支援を実施

(関連情報:2011年5月30日 日本経済新聞、下記各社ホームページ)

今期の株主向けのイベントや株主優待に代わって、東日本大震災の被災地支援を実施する企業が増加した。

例えば、日産自動車は、毎年開催している総会後の株主懇親会を中止し、費用の削減分を被災地支援に充てた。キーコーヒーは、2011年3月通期に限って、株主優待として、従来の自社製品の提供に加えて、震災被災者への義援金に当てることを選択できるようにした。

Point!

懇親会や株主優待を被害者支援に代えることで、被災者を支援したいという株主の思いを実現するための選択肢を広げることができました。社会貢献活動に、これまでの主な対象だった顧客に加えて株主が参加する機会をさらに拡充することにつながっています。より多くのステークホルダーが関与を深め、社会貢献活動を充実する取組といえるでしょう。

海外トピックス2011年4・5月に公開された海外のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。

株主総会においてESGに関連する株主提案が増加

(関連情報:http://www.socialfunds.com/news/article.cgi/3210.html
http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/CCaSS_social_environmental_risks/$FILE/CCaSS_social_environmental_risks.pdf

5月3日に発表したアーンスト・アンド・ヤング(ロンドンを本拠地とし世界各国で会計などの事業を展開するプロフェッショナルサービスファーム)の報告書によると、米国の株主総会において環境、社会、ガバナンス(ESG:Environmental,Social,Governance)に関する株主提案が増加しており、中でも、役員報酬や役員の資質など従来あったガバナンスに関する課題に社会環境分野の課題を関連付けたものが多くなっているという。同報告書では2011年の株主総会で行われる株主提案のその半数がESGに関するものになるだろうと予測している。また、ESG関連の株主提案の議案のうち、支持票の割合が2000年は7.5%であったのが、2010年では18.4%に増加しているという。

同報告書は、「投資家のうち83%が環境、社会分野は長期的には株主価値に大きな影響を及ぼしうると考えている」という調査結果(株主向けに助言サービスを行っているInstitutional Shareholder Services社が2010年に実施)を紹介し、「企業及び取締役が投資家との対話、CSR報告書等を通じてESGに関する情報開示を進めていくべきだ」と述べている。

米リーバイスが、協力会社工場労働者の生活改善を目的に「契約条件」を改定

(関連情報:5月11日付 同社プレスリリース)

米アパレル大手リーバイ・ストラウス社は5月11日、同社製品の生産を委託する協力会社との「契約条件」に、「労働者の生活向上」を求める内容を追加し、改定すると発表した。同社は、約20年前に他社に先駆けて生産協力会社との契約条項に労働安全や環境等の基準を導入した。今回は、それ以来の改定という。

同社はプレスリリースで、契約改定の目的を「単なる労働法の準拠や職場環境改善だけでなく,協力会社の労働者や所属する地域社会の生活の豊かさの増進を目指す」と説明している。

「契約条件」の具体的な改定内容は今後確定する予定。国連ミレニアム目標(MDGs)のうち「乳幼児の健康改善」「HIV/エイズ等感染症対策」「ジェンダーの平等と女性の地位向上」「極度の貧困と飢餓の撲滅」「環境の持続可能性の確保」の各テーマに関連した内容を盛り込むという。

2012年5月の実施を目標に、協力会社からコメント等を募集しながら内容を詰める。

GRIが、第4版の作成作業に着手

(関連情報:GRIホームページ)

持続可能性報告書(CSRレポート)の国際的ガイドラインを発行する「グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)」は5月16日、同ガイドラインの第4版(G4)の策定プロセスを発表した。

G4の発行は、2013年5月を目標としている。作成作業に当たるワーキンググループ(WG)には複数のステークホルダーを参加させ、意見を集約する形式を採用する。WGメンバーは、地域性やステークホルダーの多様性の観点から偏りなく採用する意向という。

GRIは、作業の初段階として、同ガイドラインの採用企業や主要なNGO等から、G4の構成や内容についての予備的ヒアリングを開始した。

同時に、G3(第3版)では未採用だったがG4に新たに盛り込むべきトピックスの公募を開始。GRIのホームページに、一般からアイデアを集めるサイトを設置した。

持続可能な社会の実現に向けた取組の有用性を企業が認識

(関連情報:http://www.csrwire.com/press_releases/32301-Sustainability-Benefits-Exceed-Expectations-for-a-Majority-of-Businesses-Accenture-Survey-Finds

アクセンチュア社(米国)がフォーチュン・グローバル1000(米国経済誌「フォーチュン」が実施している大手企業ランキング)から抽出した各業界の代表275社に行った調査によると、72%の企業が「持続可能な社会実現に向けた取組が当初の期待を上回る成果をあげた」と回答した。その具体的な成果としては、ビジネスリーダーとしての評判、信頼の獲得が49%、低コストの実現が42%、ブランド力の改善が41%と続いた。

同調査において、「持続可能性な社会実現のための取組への投資が、市場での成功や低コスト化の実現につながり、ひいては自社の事業戦略を活性化させる重要な手法であることを企業が認識し始めている」と言及されている。

Point!

本調査結果は、米国の主要企業の多くが、 CSR活動による具体的な成果を認識していることを改めて示すものです。

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