改正景品表示法が施行、事業者の自主的な是正促す仕組み導入
2024.11.28
2024年10月1日、改正景品表示法が施行された。今回の改正では、「確約手続」が導入されたことが大きな特徴である。
確約手続は、優良誤認表示等の景品表示法違反の疑いのある行為(以下、「違反被疑行為」という)を行った事業者が是正措置計画を申請し、行政機関から認定を受けた場合に、行政処分が免除される制度であり、事業者が自主的に問題の改善に取り組むことを促す目的がある※1。
確約手続の流れは次のとおりである。
確約手続の流れ※2
- 消費者庁による違反被疑行為に関する調査が開始される。
- 消費者庁が当該違反被疑行為について確約手続の対象とすることが適当であると判断した場合、調査対象の事業者に対して確約手続通知を行う ※3。
- 対象の事業者は、確約手続通知を受けた後、確約認定申請(違反被疑行為に対する是正措置等の実施計画(確約計画)の作成・申請)を行うかどうかを判断する。確約認定申請を行う場合は、確約手続通知日から60日以内に確約認定申請を行う。
- 消費者庁は申請された確約計画を審査し、認定要件に適合すると認める場合は、当該確約計画を認定する。
- 消費者庁は、認定された確約計画を公表する。
景品表示法では、確約計画の認定要件について、(ⅰ)違反被疑行為およびその影響を是正するために十分なものであること(措置内容の十分性)、(ⅱ)確実に実施されると見込まれるものであること(措置実施の確実性)の2点を定めている(景品表示法第27条第3項および第31条第3項)。消費者庁は、認定についての考え方を以下のように示している。
<認定についての考え方>
認定要件 | 考え方 |
---|---|
(ⅰ)措置内容の十分性 | 違反被疑行為およびその影響(一般消費者による自主的かつ合理的な商品及び役務の選択を阻害するおそれが生じている状況)を是正する上で、十分な措置が講じられているかを判断する。
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(ⅱ)措置実施の確実性 | 確約計画で定められた措置が実施期限内に確実に実施されると見込まれるか否かを判断する。 例えば、一般消費者への被害回復を行う場合には、確約契約に被害回復の内容(誰に対してどのような被害回復を実施するか)、対象となる一般消費者へ措置内容の周知方法、被害回復に必要な資金の額および調達方法が具体的に明らかにされている必要がある。 |
出典:消費者庁「【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要」を基にMS&ADインターリスク総研作成
※1)消費者庁表示対策課「【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling~
※2)消費者庁「確約手続に関する運用基準」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline~
※3)確約手続の対象とするか否かについては、違反の疑いがある行為等を迅速に是正する必要性、あるいは、違反被疑行為者の提案に基づいた方がより実態に即した効果的な措置となる可能性などの観点から判断することが示されている。
【参考情報】参考情報:消費者庁HP:
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/#amendment
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この記事は「ESGリスクトピックス2024年度 No.8」(2024年11月発行)の掲載内容から抜粋しています。
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