CPSCが乳児用製品2品種の安全基準を制定
2024.12.27
米国消費者製品安全委員会(以下、CPSC)は2024年9月18日、10月16日に相次いで、乳児用クッション2製品(授乳クッション※1とサポートクッション※2)の安全基準を承認したと発表しました。
CPSCは2008年製品安全改善法(The Danny Keysar Child Product Safety Notification Act)第 104 条(Standards and consumer registration of durable nursery products)に従い、乳幼児製品の安全基準を発行していますが、今回上述の2製品について安全基準を発行したものです。
CPSCによると、2010年から2022年の間に、授乳クッションに関連する死亡事故が154件、負傷事故が64件発生し、また、サポートクッションに関連する死亡事故が79件、負傷事故が124件起きていることが確認されています。いずれの製品に関しても被害者は生後3か月未満の乳児が大多数を占めており、事故要因の多くは当該製品が大人用ベッドやマットレス、ベビーベッド等と組み合わせて使われたことによるとしています。
今回制定された安全基準では、性能基準としてそれぞれ以下の要件および試験方法が定められています(概要のみ記載)。
製品 | 要求事項 | 性能要件 |
---|---|---|
授乳クッション | 硬さ | 乳児の顔に触れた際に気道が塞がれないよう、一定以上の硬さがあること |
固定機能 | 乳児を放置しても安全であると誤解させるような、固定機能が付いていないこと | |
はまり込み防止 | 乳児の顔が内壁に触れて気道が塞がれないよう、顔に接触しない形状であること | |
保護者用持ち手 | 容易に破損して、小部品や鋭利な端部が形成されないこと | |
サポートクッション | 硬さ | 乳児の顔に触れた際に気道が塞がれないよう、一定以上の硬さがあること |
固定機能 | 乳児を放置しても安全であると誤解させるような、固定機能が付いていないこと | |
開口部 | 乳児の頭が入らない大きさであること | |
傾斜角度 | 乳児の頭と首が危険な角度にならず、かつ側壁の高さが制限されるよう、全体の傾きが一定角度を超えないこと | |
側壁の角度 | 側壁にはまり込んだり気道が塞がれないように、側壁が一定角度を超えていること | |
また、いずれの製品においても、目につきやすく、かつ容易に消えない警告表示を行うなどの一般要件も定められています。
今回の2製品に以外にも、CPSCではいくつかの乳幼児用製品の安全基準が設けられています。一方、日本においては、諸外国で販売が禁止されている子ども用製品の国内での流通を阻止する手立てがなかったことから、子ども用特定製品が定められ、順次技術基準が定められることになりました。
子ども用製品、特に育児用品に関わる事業者においては、こうした安全基準を常にアップデートし、製品の安全性をより高めていくことが強く求められます。
【出所】
CPSCのリリース(授乳クッション)
https://www.cpsc.gov/Newsroom/News-Releases/2024/CPSC-Approves-New-Federal-Safety-Standard-for-Nursing-Pillows-to-Prevent-Infant-Deaths-and-Serious-Injuries
CPSCのリリース(サポートクッション)
https://www.cpsc.gov/Newsroom/News-Releases/2025/CPSC-Approves-New-Federal-Safety-Standard-for-Infant-Support-Cushions-to-Prevent-Infant-Deaths-and-Serious-Injuries
1)授乳中に乳児を支えるための枕状のクッション
2)乳児を仰向けや横向きなどで寝かせる際に全身を支えるためのクッション