
ESGリスクトピックス 2025年度 No.1
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2025.4.1
第7次エネルギー基本計画を閣議決定 脱炭素電源の拡充は?
2025年4月発行の『ESGリスクトピックス<2025年度第1号>』では、上記を含む以下のトピックを取り上げています。
- 第7次エネルギー基本計画を閣議決定 脱炭素電源の最大活用を目指す
- 有報サステナ開示SSBJ基準が確定、GHG排出量の算定期間は決算期と同じに
- 欧州サステナ開示規制の適用対象・内容を大幅緩和へ、欧州委が法案公表
- TNFD、新たな能力開発ツールを企業担当者と訓練提供者向けに発表
- 経産省、産業データの越境・国際流通に係るデータ管理の指針示す
- 中小企業の情報セキュリティ体制、未だ不十分IPAが調査結果公表
ここでは以上のトピックの中から「第7次エネルギー基本計画を閣議決定 脱炭素電源の最大活用を目指す」をご紹介します。
第7次エネルギー基本計画を閣議決定 脱炭素電源の最大活用を目指す
2025年2月18日、政府は第7次エネルギー基本計画(以下、第7次計画)を閣議決定した。2021年10月に策定された第6次計画から日本を取り巻くエネルギー情勢が大きく変化したことを踏まえつつ、2040年度までに温室効果ガス(GHG)を2013年度比で73%削減するという日本政府の目標(Nationally Determined Contribution (NDC))※1とも整合した内容となっている。
エネルギー基本計画は、エネルギー政策の基本的な方向性を示すことを目的に、「エネルギー政策基本法」に基づき政府が策定する計画である。少なくとも3年ごとに検討を加えて必要に応じて変更し、閣議決定を求めるよう定められている。このたび閣議決定された第7次計画は2024年 5月から検討が進められており、12月に原案を提示、パブリックコメントを踏まえ閣議決定された。
第7次計画では以下のとおり、2040年までの方向性が示されている。
- 今後は電力需要の増加が見込まれており、それに見合った脱炭素電源を国際的に遜色ない価格で確保できるかが焦点となる
- エネルギーの安定供給と脱炭素を両立するため、再生可能エネルギーを主力電源として最大限活用しつつ、特定のエネルギー源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指す
- 徹底した省エネルギー、製造業の燃料転換と同時に、脱炭素効果の高い電源を最大限活用する
- エネルギー政策の要諦である「安全性、安定供給、経済効率性、環境適合性(S+3E)」の原則に基づきつつ、経済合理的な対策から優先して取り組むことが不可欠
上述のとおり、第7次計画では脱炭素電源の活用が強調されている。特に再生可能エネルギーは主力電源化を徹底することが明記されており、長期安定電源化に向けて電力系統の整備も含めた大規模かつ長期的な投資と、これに必要な資金の安定確保に向けたファイナンス環境の整備の必要性が述べられている。なお、第7次計画中では原子力発電も必要な規模を持続的に活用するとしており、再生可能エネルギーとの二項対立ではなく、原子力も含めた脱炭素電源化が進められる見込みである。このほか、第7次計画では水素・アンモニア等の次世代エネルギー活用に向けた企業の設備投資の促進や、非化石エネルギーへの転換が困難な分野における炭素回収・貯留(CCUS)に対する支援制度の検討、再生可能エネルギーや電化に必要な重要鉱物の供給源の多角化などが示されている。
同じく2025年2月18日には次期NDCを含む地球温暖化対策計画も閣議決定された。日本の次期NDCは当初の政府案※2のとおり、GHG排出量を2035年までに60%削減、2040年までに73%削減(いずれも2013年比)となっており、エネルギー分野における脱炭素電源の拡充はNDC達成のカギとなる。
政府の削減目標が更新されたことに伴い、各企業が過去にTCFD等に基づいて実施した気候シナリオ分析の前提条件が変わると考えられ、必要に応じてシナリオ分析や気候移行計画の見直しを行うことが推奨される。
また、再生可能エネルギーは自然関連リスクの懸念もある。例えば山林を切り開いたメガソーラーの場合、動植物の生息環境のかく乱や土壌流出の増加、水源涵養量の減少、斜面災害等の増加を引き起こす可能性があり、これらに起因する評判の悪化や操業コストの増大は企業にとって注意すべき自然関連リスクになりうる。気候と自然の統合(Climate-Nature Nexus)の考え方に基づいて、再生可能エネルギーへの投資や導入を検討していく姿勢が求められる。
【参考】
2025年2月18日付 経済産業省HP:https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/
1)国連気候変動枠組条約事務局:https://unfccc.int/NDCREG
2)ESGリスクトピックス「GHG削減目標2035年までに60%削減 -日本政府、次期NDC案-」参照
https://rm-navi.com/search/item/1994
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