レポート/資料

ESGリスクトピックス 2025年度 No.9

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2025.12.1

有報提出期限延長せず、投資家ニーズ反映しサステナ開示の迅速性優先、金融庁WG

2025年12月発行の『ESGリスクトピックス<2025年度第9号>』では、上記を含む以下のトピックを取り上げています。

  • 世界初、生物多様性に取り組む組織向けの国際規格ISO17298が発行
  • 「ビジネスと人権」政府行動計画改定案が公表、外国人労働者やAIが優先分野に
  • 「EUデータ法」が施行
  • ランサムウェア脅威に国際連携で対処 5回目の国際会合を開催

ここでは以上のトピックの中から「有報提出期限延長せず、投資家ニーズ反映しサステナ開示の迅速性優先、金融庁WG」をご紹介します。

有報提出期限延長せず、投資家ニーズ反映しサステナ開示の迅速性優先、金融庁WG

2025年10月30日に開催された金融庁の金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ(WG)」で、現行で事業年度終了後3カ月以内とする有価証券報告書の提出期限を延長しないとする考えが示された。有報に掲載するサステナビリティ関連データの第三者保証義務化などに伴う企業の負担増への配慮として期限延長を求める声が高まっていたが、有報の迅速な開示を求める投資家のニーズが優先された格好だ。また、時価総額5,000億円以上1兆円未満のプライム市場上場企業にSSBJ基準の適用を開始する時期は、当初案どおり29年3月期が示された。

WGでは2025年7月に、それまでの論議を踏まえた中間論点整理を公表しており、25年内にも結論を出す予定だ。

「第三者保証が付されている場合における有価証券報告書の提出期限の延長」が、注目の論点のひとつだった。サステナビリティ情報開示の義務化による企業の負担増を考慮し、有報の提出期限を事業年度終了後3カ月以内から4カ月以内に延長する要否を、以下の観点を踏まえて検討してきた。

  • WGにおいて早期の情報開示を望む意見がある(特に財務情報の開示が遅れることに懸念)
  • 当初2年間は、保証の範囲をスコープ1・2、ガバナンス及びリスク管理に限定する方向性
  • 欧州では比較的早期に「企業サステナビリティ報告指令(CSRD)」に基づく情報開示が行われている

本WGで、サステナビリティ情報開示の制度化に関わる国内外の動向に特段の変化がみられていないことを理由に、「提出期限の延長は実施しない」ことで合意した。企業の開示負担の軽減よりも、迅速な情報開示を求める投資家ニーズを重視した。

また、29年3月期を基本としつつ国内外の動向等を注視して検討することになっていた、時価総額5,000億円以上1兆円未満のプライム市場上場企業のSSBJ基準適用開始時期についても、状況の大きな変化が見られないことを理由に、当初案どおりの2029年3月期からの適用が示された。

他に、サステナビリティ情報の第三者保証の担い手について、監査法人に限定されない案が示された。グローバル企業の活動を阻害しない観点から、サステナビリティ保証は保証基準(ISSA5000)、品質管理基準(ISQM1)、倫理・独立性基準(IESSA)といった国際基準と整合性が確保された基準への準拠に言及。保証実務実施者は登録制で、監査法人・監査法人以外のいずれも可能とした。

これらを反映し「企業内容等の開示に関する内閣府令」が26年1月ごろに改正の予定だ。

【参考情報】 2025年10月30日、金融庁HP
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/...20251030.html

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