ESGリスクトピックス(2019年11月)
2019.11.1
今月の主なトピックス
Environmental-環境-
<気候変動>
アマゾンがCO2排出量ネットゼロを2040年までに達成する自主的誓約「Climate Pledge」発足
IT大手アマゾン(米)は9月19日、Global Optimismと共に、二酸化炭素排出量ネットゼロを2040年に達成するという自主的誓約、「Climate Pledge」を発足させ、同社が最初の署名企業となったことを発表した。二酸化炭素排出量ネットゼロの達成時期として、パリ協定では21世紀後半、IPCCの1.5℃特別報告書では2050年が示されており、「Climate Pledge」ではそれらより早い達成を目指している。なお誓約企業は「定期的な二酸化炭素排出量の測定と報告」など3つの事項を実施する必要がある。
(参考情報:2019年9月19日付Amazon社HP)
<気候変動>
SASBとCDSBがTCFDグッドプラクティスハンドブックを発表
SASB(米国サステナビリティ会計基準審議会)*およびCDSB(気候変動開示基準委員会)**は9月23日、ニューヨーク気候行動サミットの開催に合わせ、「TCFD***グッドプラクティスハンドブック」を発表した。2019年5月に発表されたTCFD実施ガイドの補足資料となるものである。
同ハンドブックは、TCFD提言に基づく情報開示の好事例を掲載しており、企業がその財務上重要な気候関連のリスク・機会について、投資家へより効果的に開示する方法を学べるものとなっている。好事例はG20各国から収集され、日本企業では富士通の事例が掲載されている。
(参考情報:2019年9月23日付CDSB HP)
Social-社会-
<ガバナンス>
経済産業省が「デジタルガバナンス・コード」を公表、企業が目指すべきDX推進の行動指針を示す
経済産業省は9月17日、企業のDX*推進の行動指針となる「デジタルガバナンス・コード」を公表した。わが国の産業界では、部門単位でのバラバラなITシステム運用等により、国際競争力の低下が懸念されている。また、日本企業のIT関連予算の8割は現行ビジネスの維持・運営(守りのIT投資)に割り当てられ、欧米に比べて将来の成長に向けた攻めのIT投資が不十分である点等が指摘されている。政府は、本コードを通じ企業のITシステム構築・活用への経営の関与を高め、攻めのIT投資を現在の2割から倍増させ4割程度まで引き上げたい考え。
(参考情報:2019年9月17日付経済産業省HP)
<顧客満足>
経済産業省がJISQ10001~10003を改正
経済産業省は9月20日、企業などの組織が顧客満足に対する取組みを行うための指針を示した三つのJIS*を改正した。今回の改正の主なポイントは以下の通り。
- 基本原則において「公開性」「正確性」のレベルをさらに高め、「透明性」「情報の完全性」に変更
- 枠組みにおいて、「組織の状況」を考慮することを追加
- 「リーダーシップ」の重要性をより強調する内容に変更
(参考情報:2019年9月20日付経済産業省HP)
<食品ロス>
世界の食品大手10社が2030年までに食品ロスを半減するイニシアティブ「10x20x30」を立ち上げ
世界の食品大手10社*は9月24日、2030年までに食品ロスと食品廃棄物の半減を目指すイニシアティブ「10x20x30」を立ち上げた。サプライヤーと連携し、サプライチェーン全体で食品ロスを半減させ、持続可能な開発目標(SDGs)の「ターゲット12.3**」の達成を目指す。現在、食品ロスは年間10億t以上に上り、9,400億米ドルの損失額に相当、世界の二酸化炭素排出量の8%を占める一方、世界人口の9人に1人が栄養不足にある。
(参考情報:2019年9月24日付CHANPIONS 12.3 HP)
Governance-ガバナンス-
<ガバナンス>
金融庁が内部統制監査報告書の記載内容改訂案を公表、企業の不正会計対策強化が主眼
金融庁は9月6日、内部統制監査報告書の記載内容の改訂案を公表した。同改訂案のポイントは、以下の通り。
- 監査法人による意見記載箇所を内部統制監査報告書冒頭に変更
- 「経営者の責任」のタイトルを「経営者及び監査役等の責任」に変更
- 財務報告に係る内部統制について監査役の責任を明示
(参考情報:2019年9月6日付金融庁HP)
<ガバナンス>
金融庁が「スチュワードシップ・コード」改訂に向けた検討を開始
金融庁は10月2日、スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会を開催し、コード改定に向けた検討を開始した。
これは、本年4月24日に公表された意見書「コーポレートガバナンス改革の更なる推進に向けた検討の方向性」を踏まえ、2020年度内にスチュワードシップ・コードの更なる改訂を行うことを目指し、開催するもの。
(参考情報:2019年10月2日付金融庁HP)
<ガバナンス>
公正取引委員会が企業合併審査時の独占禁止法適用の考え方などを示したガイドラインの改定案を公表
公正取引委員会は10月4日、企業合併審査時の独占禁止法適用の考え方などを示したガイドラインの改定案を公表した。従来の市場シェアに加えて、企業が保有する「データ」の量と質も合併審査の対象に追加した。顧客情報などを活用してビジネスを展開する巨大IT企業がデータを独占し市場競争を阻害するのを防ぐ。パブリックコメントを経て年内の指針改定を見込む。
(参考情報:2019年10月4日付公正取引委員会HP)
全般・その他
<全般>
国連と世界主要130行が参加し「責任銀行原則(PRB)」が発足、世界的課題の解決目指す
国連と49か国の銀行130行が参加する「責任銀行原則(PRB)」が9月22日に発足した。参加行は持続可能な開発目標(SDGs)と温暖化対策の国際的枠組み(パリ協定)など世界的な課題解決を含む6項目について事業運営での実践を求められる。参加全行の資産総額は約47兆米ドル。日本からは三井住友フィナンシャルグループなどメガバンク3行と三井住友トラスト・ホールディングスが参加する。
(参考情報:2019年9月22日付UNEP HP)
<全般>
経済産業省が日本企業における新規事業創出のための指針を公表、経営者の役割強調。
経済産業省は10月4日、日本企業が新規事業の創造に際して直面する課題とその解決に向けた具体的行動をまとめた、「日本企業における価値創造マネジメントに関する行動指針」を公表した。本指針では、未来価値(ビジョン)を発信し社内外に共感させること、社会における自社の存在意義を問い直すなど、行動指針を7つ示すとともに、その実行に向けた経営トップの強い意志と覚悟を求めている。
(参考情報:2019年10月4日付経済産業省 HP)
今月の『注目』トピックス
<気候変動>
GPIFがポートフォリオの気候変動リスク分析結果を公表
(参考情報:2019年8月19日付 GPIF プレスリリース ほか)
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は8月19日に、「GPIFポートフォリオの気候変動リスク分析」と題するレポートを公表した。GPIFにとって、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)*の提言に沿った初の気候関連情報の開示となる。
同報告書はGPIFの保有する国内外の株式と債券について、ポートフォリオの加重平均炭素強度**、化石燃料関連事業への依存度、電源構成割合、2℃シナリオ下の炭素価格による財務影響などの移行リスクに焦点を当てた様々な指標を開示している。注視したい点は、投資先各社の温室効果ガス削減目標を勘案して、2023年までのGHG排出量を推計したところ、GPIFのポートフォリオは「3℃以上シナリオ」に一致したという結論である。
PRIが新しい気候変動シナリオを公表
国連責任投資原則(PRI)は9月10日、気候変動に関する新シナリオ「将来政策シナリオ(FPS)」を公表した。
近年ではTCFDの提言を踏まえて、様々な組織が気候変動シナリオ分析手法を提案しているが、その多くは2℃シナリオとして国際エネルギー機関(IEA)の「持続可能な開発シナリオ(SDS)」や「Beyond 2℃シナリオ(B2DS)」に準じている。
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