レポート/資料

ESGリスクトピックス(2019年9月)

2019.9.1

今月の主なトピックス

Environmental-環境-

<気候変動>
経済産業省、カーボンリサイクル技術ロードマップを公表

経済産業省は6月7日、CO2を資源として分離・回収し、燃料や原料として再利用するカーボンリサイクルについて、技術ロードマップを公表した。ロードマップは、CO2の利用が可能なエネルギー・製品ごとに、技術の現状とコスト低減に向けた課題を明確化し、2030年・2050年の開発目標を設定したものである。

CO2の大気中への排出抑制につながるカーボンリサイクル技術は、気候変動問題などの解決に向けて有望な選択肢の一つである。経済産業省は、本ロードマップを国内外における産学官の関係者に共有することにより、本分野でのイノベーションを加速する方針を示している。

(参考情報:2019年6月7日付 経済産業省 HP

<気候変動>
英国、2021年に金融機関の気候変動ストレステストを実施

英国の中央銀行であるイングランド銀行は6月20日、気候変動リスクマネジメントの主流化を図るため、英国内の金融機関について2021年に気候変動ストレステストを実施すると発表した。

それに先んじて同行の健全性監督機構(PRA = Prudential Regulation Authority)は6月18日、保険会社に対して2年ごとに実施する保険ストレステストのガイダンスを公表した。同ガイダンスでは保険会社に対して、以下の気候変動シナリオの財務影響を算出して報告することを求めている。

(参考情報:2019年6月18日付 イングランド銀行 HP

(参考情報:2019年6月20日付 イングランド銀行 HP

<気候変動>
積水化学、TCFD提言に基づく気候関連シナリオ公表

積水化学工業(株)は7月9日、同社初となる気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく情報開示を行った。15ページに及ぶ報告書には、TCFDが開示を推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目において、同社グループの気候変動課題への対応が記載されている。

「戦略」のパートでは「脱化石スマート社会」「循環持続社会」「大量消費社会」「地産地消社会」という4つのシナリオを策定し、定性的に機会・リスクを整理し、事業を通じてどのように課題解決に貢献しつつビジネスを拡大するか検討されている。

(参考情報:2019年7月10日付 積水化学 HP

<気候変動>
気候非常事態宣言、世界900以上の政府・自治体に拡大

2018年以降の青少年を中心とした気候ストライキの拡大を契機として、「気候非常事態宣言(CED = Climate Emergency Declaration)」を行った政府・自治体が世界18か国935の国・自治体に急増している。特に2019年4月以降、国レベルでもイギリス、アイルランド、ポルトガル、カナダ、フランス、アルゼンチンなどの議会が宣言を可決している。自治体ではニューヨーク、サンフランシスコ、パリ、シドニー、メルボルン、チューリッヒ、アムステルダム、ミラノ、ナポリなどが宣言を行っている。

(参考情報:2019年8月7日付 Climate Emergency Declaration Campaign HP

Social-社会-

<ワークライフバランス>
ユニリーバ・ジャパン、ワーケーション「地域 de WAA」を導入

ユニリーバ・ジャパンは7月18日、全国6つの自治体と連携し、ユニリーバ式のワーケーション*「地域 de WAA(Work from Anywhere and Anytime)**」を導入することを発表した。コワーキングスペースとしての自治体施設の無料利用、地域のイベント・アクティビティへの参加が可能。また、自治体の指定する地域課題解決活動に参加することで、提携宿泊施設の宿泊費が無料または割引となる。本取組は、同社社員の働き方の拡充に加え、地域の枠を超えた人材交流により、地域に根差した新しいイノベーションやビジネスモデルの創出も企図している。

(参考情報:2019年7月18日付 ユニリーバ・ジャパン HP

<情報管理>
GDPR適用開始から1年欧州委が現状を高評価の一方、市民啓発などの課題を認識

欧州委員会は7月24日、2018年5月のEU一般データ保護規則(GDPR)の適用開始から1年が経過したのを受け、現状のレビュー結果を公表した。各EU加盟国による個人データの適切な保護に必要な法的措置の導入や企業のコンプライアンス文化の醸成、市民の権利意識の向上などの点で進展を評価。一方で、大半の市民が自身の個人データについて保護責任を負う公的機関を認識していない点などを挙げ、市民への啓発活動の強化などを今後の取組み課題とした。

(参考情報:2019年7月24日付 欧州委員会 HP

Governance-ガバナンス-

<ESG投資>
環境省が、企業の環境活動の評価基準を公表、投資家のESG投資先選別時の参考が目的

環境省は7月8日、企業の環境活動の評価の視点を提示した「『環境サステナブル企業』*についての評価軸と評価の視点」を公表した。投資家が、ESG投資先に環境配慮と企業価値向上を同時に目指す企業を選別する際の参考にすることが目的。「リスク・事業機会・戦略」「各種KPI(の設定や達成状況)」「ガバナンス」「その他の加点要素」の4つの評価軸で構成する。投資家だけでなく、企業が環境活動やその情報開示に際して投資家の視点を理解する際の参照も想定した。なお、同省は本基準に即した企業の表彰制度を2019年度に新設する予定。

(参考情報:2019年7月8日付 環境省 HP

<ITガバナンス>
経産省、企業の戦略的IT活用推進で取締役会の実効性評価項目を公表

経済産業省は7月31日、企業の戦略的なIT活用・推進における取締役会の実効性評価の項目を公表した。取締役の選任・評価やビジョンの共有、ガバナンス、意思決定や情報開示など、事業のデジタル化・IT化に伴う価値創出とリスク低減で取締役会が備えるべき機能などを提示した。

(参考情報:2019年7月31日付 経済産業省 HP

全般・その他

<SDGs>
ベルテルス財団とSDSN、2019年度版「SDG Index and Dashboards」を公開

ドイツのベルテルス財団とSDSN*(Sustainable Development Solutions Network)は6月28日、2019年度版「SDG Index and Dashboards」を公開した。本レポートは2016年から毎年発行しており、各国のSDGsの達成状況をまとめ、ランキング化している。なお、各国の解説では、SDGsの各目標に対する現状を色で表示し、その取組が良い方向性に向かっているか否かを矢印で表示している。今回、SDGsの各目標のうち、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」の3つについては、全体的に対策が遅れていると指摘している。

(参考情報:2019年6月28日付 SDG index HP

<ESG報告>
CRD、非財務情報開示における7原則をまとめる

「Corporate Reporting Dialogue*(CRD)」は7月2日、非財務情報開示における透明性と説明責任を高めるために企業の報告書の作成者が従うべき7つの原則をまとめた。CRDの参加機関は、現代社会と金融市場において、透明性と説明責任が質の高いガバナンス体制の構築とステークホルダーの意思決定の手助けに不可欠としている。

「マテリアリティ」「完全性」「正確性」「バランス」「明確性」「比較可能性」「信頼性」の7つの項目の十分性を満たすことが重要であるとまとめた。

(参考情報:2019年7月2日付 CRD HP

今月の『注目』トピックス

<SDGs>
国連が「SDGsレポート2019」を発表、気候変動と格差拡大が目標達成の妨げに

(参考情報:2019年7月9日付 国連HP

国連は7月9日、国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)の開催にあたり「SDGsレポート2019」を発表した。

本報告書ではSDGsの17の目標全ての実現に向けた進捗状況の測定結果を示している。SDGs策定から4年が経過した現在では、極度の貧困の大幅な減少や予防接種の普及、幼児死亡率の引き下げ等、いくつかの分野で前進がみられる一方で、気候変動対策や生物多様性等の環境関連の目標と、国家間・国内的な格差拡大に対しては課題があるとしている。

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