コーポレート・ガバナンスに関連する会社法改正動向とD&Oリスク【CSRトピックス 2012年度 特別号】
2012.7.1
はじめに
企業経営を取り巻く内外の環境が変化している中、コーポレート・ガバナンス(企業統治)のあり方が改めて問われている。その代表的な動向の一つが、わが国における会社法改正の議論である。現在、「法務省法制審議会会社法制部会」(以下、会社法制部会という)において議論されている「会社法制の見直しに関する中間試案」(以下、中間試案という)には、コーポレート・ガバナンスのあり方にもかかわる様々な論点が盛り込まれている。
今回は、その中でも特に役員賠償責任リスク(D&Oリスク)と関わる論点に的を絞り、その最新動向とD&Oリスクへの影響について論じる。
1. 経緯
まず簡単に、会社法改正の経緯を紹介しておく。法務大臣の諮問により、会社法制部会が設置され、同部会で議論が開始されたのは2010年4月である。その後、東日本大震災に伴う中断があったものの、2011年11月には、会社法改正の重要なポイントを示すものとして、中間試案の第1次案が公表された。
この中間試案をたたき台として、以後月1回のペースで、会社法制部会における議論が続けられている。本年6月13日に開催された第21回会議からは、会社法制の見直しに関する要綱案の作成に向けた検討が始まっている。
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