環境CSRの新たな潮流 ~ISO26000、GRI-G4、ISO14001:2015をどう活用すべきか~【新エターナル 第32号】
2013.10.1
1. はじめに
2010年11月1日、社会的責任(SR:SocialResponsibility)に関する世界標準と言える「ISO26000社会的責任に関する手引」(以下"ISO26000"と表記)が発行されました。また2013年5月には、グローバル・レポーティング・イニシアチブ(GRI:GlobalReportingInitiative、以下"GRI"と表記)が取りまとめた持続可能性報告(SustainableReporting)に関する、やはり世界標準である「持続可能報告ガイドライン第4版」(以下"GRI-G4"と表記)が公表されました。そして、環境マネジメントシステムの世界標準である「ISO14001環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引」は現在改正作業中で、2015年に改正版(以下"ISO14001:2015"と表記)が発行される予定です。これらの規格・ガイドラインは、それぞれ独自に策定され、活用方法も異なるようにも見受けられますが、各規格・ガイドラインはお互い整合性を取りつつ、企業に対して一定方向の新たな環境CSRマネジメントを標榜するよう策定されています。本稿では、これら3つの規格・ガイドラインの『環境』分野に焦点を当てて、相互関係も踏まえ企業における効果的な活用方法を考察します。
1. ISO260001
(1) ISO26000とは
ISO26000は、2010年11月1日に発行され、わが国では2012年3月21日JIS規格として制定されました。この規格は、社会的責任とは何か、そしてそれを実施する上で組織が何に、またどのように取り組むべきなのかに関する手引(ガイダンス)を提供する国際規格であり、組織の業種・規模を問わず利用できます。ISO26000は、社会的責任の7つの中核主題(coresubjects、「組織統治」「人権」「労働慣行」「環境」「公正な事業慣行」「消費者課題」「コミュニティへの参画及びコミュニティの発展」)に関して解説しています。
ISO26000の特徴はいくつかありますが、ステークホルダーを重視し(ISO26000のSRの定義の中に"ステークホルダーの期待に配慮"とある)、そして【図表1】に示すように、組織の影響力の範囲にはサプライチェーンやバリューチェーンも含まれると明確に規定していることなどが挙げられます。これらの点は、後述のGRI-G4やISO14001:2015にも多大なる影響を与えています。
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