第19号「企業のネットゼロ目標の新領域『土地由来の温室効果ガス排出』」
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2024.1.1
本号の概要
- 本稿では、科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)より2022年9月に公開され、2023年12月に一部内容が更新された土地由来の温室効果ガス(GHG)排出を対象とした目標設定ガイダンス「FLAG ガイダンス」の概要とポイントを整理する。FLAGとは「Forest,Land and Agriculture(森林、土地、農業)」の頭文字をとったものである。
- FLAG由来のGHG排出はIPCCの報告書等でその重要性が指摘されていたものの、排出量算定の難しさなどから企業の目標設定手法の確立が遅れていた領域である。一方、FLAGは2030年までに必要となるGHG排出削減量に対して最大37%、2050年までに最大20%の貢献が可能という試算もあり、低炭素社会の実現において無視できない。
- 今回公開されたFLAGガイダンスでは、対象となる企業や目標設定のアプローチなどについて12の必須基準が設定された。あわせて、FLAG関連の目標設定ツールも公開されており、すでにFLAGに関連が深い企業では目標設定に向けた動きが求められている。
- 目標設定の際に必要となるFLAG関連の排出量の算定ガイダンス(GHGプロトコル)は現在ドラフト版であり、最終版リリースをもってFLAGガイダンスも更新される予定である。現行のSBT認定企業のうちSBTiが定める基準を満たす企業は、GHGプロトコルの最終版が公開されてから半年以内にFLAG関連の排出削減目標の提出が求められるため、該当企業は特に対応が急がれる。
1. はじめに
企業のGHG排出削減目標に対して「土地からの排出」という新たな領域が加わり、注目が集まっている。
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