レポート/資料

第29号「ISOマネジメントシステム規格の共通化がISO14001 改訂版に与える影響」

2012.9.1

1. はじめに

これまで、(図表1)(注:開発中の規格も含む)に示すようにISO9001(品質マネジメントシステム)やISO14001(環境マネジメントシステム)をはじめとして、様々なISOマネジメントシステム規格(以下、ISOMSS)が発行されてきました。これと並行して、様々なISOMSSの共通化を図るための議論が2006年からスタートしており、ISO/TMB(技術管理評議会)のTAG13-JTCG(合同技術調整グループ)で、ISOMSSの次の共通要素が開発され、(図表2)に示す概要が2012年2月にTMBで承認されました。

この文書は、ISOメンバー国への投票の際に付けられたタイトルである「ISOGuide83」として規格関係者の間で広く知られることになりましたが、現在は「MSSの正当性及び作成に関する指針」としてISO/IEC(国際電気標準会議)専門業務用指針(ISO関係者のための業務ルール)1の中に取り込まれました。

最終承認されたISO MSS共通テキストの章構成は、(図表3)の通りですが、既にこのISO MSSの共通要素を採用しているISO MSSとして、ISO39001(道路交通安全マネジメントシステム)、ISO22301(事業継続マネジメントシステム)などがあります。ISO9001やISO14001も、次回の改訂においては(図表3)の章構成が(図表4)のように適用され、各種のISO MSSの構造が統一されるので、特に複数のISO MSSの認証を取得している組織は、ISO MSSを従来に比べて容易に統合でき、結果としてMSSの運営負担が軽減され、マネジメント・ツールとしてより活用されることが期待されます。

ISO14001は現在改訂作業中で 2015年 1月に発行予定ですが、本稿ではISO MSSの共通化により、次世代のISO14001がどのように変化し、規格ユーザーにどのような影響を与えるのかについて考察します。もちろんISO14001改訂版の検討作業はこれから本格化するため、本稿での考察は一部想定や見込みも含まれますが、ISO MSSの共通要素は既に確定しているため一定の考察は可能であると考えます。なお本稿はISO14001改訂版に焦点を当てて考察いたしますが、ISO MSSの共通要素は、前述の通り他のISO MSSにも同様の影響を及ぼすため、ISO14001以外のISO MSSの将来像を予想する際に、本稿が少しでも参考になれば幸甚です。

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