ISO26000(社会的責任の手引)を活用した自社の環境マネジメントの棚卸し【新エターナル 第25号】
2011.9.1
1. はじめに
2010年11月1日、社会的責任(SR:SocialResponsibility)の世界標準であるISO26000が発行しました。この規格は、社会的責任とは何か、そしてそれを実施する上で組織が何に、またどのように取り組むべきなのかに関する手引を提供する国際規格であり、組織の業種・規模を問わず利用できるものです。その開発には、90を超える国と40を超える国際機関の、消費者・政府・産業界・労働組織・非政府組織(NGO)・その他有識者約400人のマルチステークホルダーが関与しました。
しかしながら規格文の量が多く内容が複雑なこの規格を、どのように活用したら良いのか苦慮している企業も多いと言われています。そこで本稿では、社会的責任の7つの中核主題(「組織統治」「人権」「労働慣行」「環境」「公正な事業慣行」「消費者課題」「コミュニティへの参画及びコミュニティの発展」)から「環境」を選定し、ISO26000を自社の環境マネジメントにどう活かすべきなのかについて考察します。
2. ISO26000のポイント
(1) ISO26000の特徴
「1適用範囲」に記述されている本規格の特徴は次の通りです。①②④は後述の社会的責任の定義とも一致しています。
①組織の持続可能な発展1への貢献を助けることを意図している。
②組織が法令順守以上の活動に着手することを奨励する。
③社会的責任の分野における共通の理解を促進することを意図している。
④ISO26000を適用する際は、国際行動規範2との整合性をとりつつ、経済状況の違いに加えて、
社会、環境、法、文化、政治及び組織の多様性を考慮する。
⑤ISO26000は、マネジメントシステム規格ではない。(第三者認証用の規格ではない。)
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