2022年度 No.5「企業に求められる救護の対応力向上へ向けた取組み」
-
ご登録済みの方は
2023.4.1
要旨
- 大規模災害発生により事業所で負傷者が発生した場合、事業所は医師や看護師等の専門家の助けを得にくいことが想定されるため、自ら救護活動を遂行することが求められている。
- そのため、予め救護対応の計画を立てておくことは重要であるが、本編では、事前の習得が必要
とされる、特に『負傷者搬送』と『応急手当』にフォーカスし、その課題や見直しのポイントを考察する。 - また、策定した救護対応の実効性を上げるために実施することが推奨される救護訓練の実施例を紹介のうえ、訓練のポイントを整理する。
1.企業における救護対応計画の必要性
“救護”とは、負傷者を救助し、保護・看護することであるため、本来は医師や看護師、救急救命士などの専門家が対応することが望ましい。しかし大規模災害発生時には、119番通報をしても、平時のように救急車を呼び寄せることは困難であるうえ1)、医師や看護師など専門家が常駐している拠点(事業所)も少ないのが現状である。このような現状であっても、企業には従業員の安全確保に全力を尽くすことが求められている。これは単に重要事業の実施・継続と早期復旧の為の人的リソースの確保だけでなく、人的資本の確保と災害時における安全配慮義務の観点からも取組みを進めることが重要である。
一方で、平時には企業が社員に人命救助や救護活動を求めることがないため、突発的に発生する有事に必要な活動ができない可能性は高い。また、昨今ではリモートワーク推進により、自衛消防組織の編成自体が難しい企業もあると考えられる。
会員登録で レポートを全て見る
ご登録済みの方は