レポート

2022年度 No.2「南海トラフ地震臨時情報発出時の企業対応について」

2022.7.1

要旨

  • BCMニュース<2019 No.2>では、2019年に内閣府より公表された「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン」、および同ガイドラインに示されている「南海トラフ地震臨時情報」の運用等について解説した。
  • 本稿では、運用開始から約3年を経て、「南海トラフ地震臨時情報」が発出された場合の企業対応について、実例を紹介する。そして、そこから紐解く検討のポイントを解説する。

1.はじめに

2022年1月22日1時8分に、日向灘の深さ45kmを震源とするM6.6の地震が発生し、大分県、宮崎県では最大震度5強が観測された。この時に気象庁が開いた会見で質疑のテーマとなったのが「南海トラフ地震臨時情報」である。 2019年から運用が開始された南海トラフ地震臨時情報が発表寸前まで至ったのはこの時が初めてであり、こうした制度があることを初めて知った方も多いのではないだろうか。また、南海トラフ地震の被害想定地域に拠点を持つ企業においては、 BCPを実践する可能性についても、より実感をもったのではないだろうか。

「南海トラフ地震臨時情報」は、2019年5月31日より運用が開始されており、「南海トラフ地震の想定震源域付近で異常現象が観測され、その現象が南海トラフ沿いの大規模地震と関連するかどうか調査を開始、または継続している場合」、 および「観測された異常現象の調査結果を発表する場合」に、気象庁から発表される。詳細の運用の流れは後述するが、この臨時の情報の発表に至る基準の一つである「想定震源域またはその周辺でM6.8以上の地震が発生」というトリガーが、 今回の日向灘地震において、南海トラフ地震臨時情報発表の可能性に言及された要素である。

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