クラウド・コンピューティングにおけるセキュリティ上の課題と導入時の留意点【情報セキュリティニュース(2012年4月)】
2012.4.1
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、巨大津波とそれに続く計画停電等により情報セキュリティ上も大きな被害が生じ、クラウド・コンピューティング(以下クラウド)の役割の重要性が再認識された。被災地では多くの企業のみならず自治体においてもサーバが津波で流され、被災者支援上必要となる住民台帳データが消失、バックアップもなかったことから被災者の本人確認ができないなどの支障をきたした例も少なからず見られた。
その後、被災自治体や被災地・被災者支援を行うNPO等に対して多くの大手ICT企業が無償でクラウドサービスを提供した。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の調査によれば、東日本大震災での緊急支援に役立てられたクラウド・サービスは76件にのぼる。その主たる用途は、安否確認、情報共有、行政情報発信、被災者支援の情報基盤の整備であった。この中には発災後わずか数日でサービスを立ち上げた例もいくつかある。提供期間については3ヶ月から6ヶ月程度のものが多いが、自治体向けには期限を定めていないものも少なくない。
このような対応事例から、地震などの大規模災害が発生した際のシステムの可用性確保やハードウェアが限定された環境下での迅速な情報インフラ確立の観点からクラウド・サービスが大きな役割を果たしたことがわかる。今後は政府、自治体や企業の災害時の事業継続の対策のひとつとして導入の検討が加速するであろう。
一方においては、企業のシステム担当者からは、クラウド導入にあたって、利点は理解しているものの、そのセキュリティ対策に懸念を抱くケースも少なくない。
そこで、本稿では、利用者側がクラウドについて懸念しているセキュリティ上の課題に焦点を絞り、最近の障害事例を紹介するとともに、導入に際しての留意点について解説する。
1. クラウドの特徴と市場規模
利用者としてのクラウドの利点としては、以下の点があげられる。
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