レポート/資料

「実効性のある避難確保計画の作成および避難訓練の実施のポイント」

2022.6.1

要旨

  • 平成29年に『水防法』が改正され、要配慮者利用施設※1の「避難確保計画の作成・報告」及び「避難訓練の実施」が義務化されたが、避難確保計画の作成率は約74%であり(令和3年9月時点)※2、避難訓練の実施率は約26%(令和3年3月時点) ※3に留まっている。
  • 令和3年7月15日にも同法が改正され、「避難訓練結果の報告」についても義務化された。
  • 避難確保計画には「作成の課題」と「内容の課題」があり、自治体等の助言や支援を求めながら解決していくことがポイントである。
  • 避難訓練によって得られる教訓を避難確保計画に反映することも重要である。

※1医療施設や福祉施設、学校、その他防災上の配慮を要する方々が利用する施設のこと。
※2国土交通省要配慮者利用施設の浸水対策計画の作成推移(下記の【図1】参照)
※3国土交通省水防法等に基づく要配慮者利用施設における取組状況のデータより弊社にて算出

1.避難確保計画の作成率と避難訓練の実施の現状

平成29年に『水防法』が改正され、要配慮者利用施設における「避難確保計画の作成・報告」および「避難訓練の実施」が義務化された。これは、平成28年8月の台風第10号の河川氾濫により、岩手県岩泉町の高齢者グループホームにおいて 入所者9名全員が犠牲となったことが背景としてある。また、令和2年7月豪雨では熊本県球磨村の特別養護老人ホームで入居者13名と職員1名が犠牲になるなど、近年、全国各地で豪雨等による水害は頻発しており、甚大な被害がしばしば 発生しているところである。要配慮者利用施設においては、「避難確保計画の作成・報告」および「避難訓練の実施」を適切に対応することが求められる。

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