「医療機関、老人福祉施設等の要配慮者利用施設における避難確保計画の重要性と事前対策のポイント」
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2021.6.1
要旨
- 50ミリ以上の非常に激しい雨が降る回数は年々増加しており、今後も豪雨による被害が発生する可能性は高い。
- 要配慮者利用施設※(以下、当該施設)の避難確保計画の策定率は全国で約6割であり、被害を受けている施設の事例を振り返れば、実行性の高い計画と訓練が早急に必要。
- 避難確保計画作成の義務がない当該施設についても作成が必要になる可能性がある。
- 当該施設の避難や救助には時間と人手がかかるうえに広い場所が必要であるため、避難計画は近隣施設と共有する機会を設け、地域を巻き込んだ水害対策を検討することが望ましい。
※医療施設や老人福祉施設、学校、その他防災上の配慮を要する方々が利用する施設のこと。
1.大雨の発生頻度の高まりと水による被害の概要
1時間の降雨量が50ミリ以上の大雨に見舞われる機会が増加している。50ミリの雨とは、平らな場所に設置した1メートル四方の水槽に1時間で50リットルの水が貯留することと同じである。 これだけの雨が降っても土地が浸水しないのは、土壌が雨を吸収したり、路面の側溝(下水)から河川に排水されるからである。しかし、50ミリ以上の雨が長く続いた場合、河川はすでに増水しており、 川に排水できなくなった雨水は路面に貯留し、床下・床上まで浸水したり、土地の傾斜によって生活エリアに水が流れ込んでくることになる。窪地に建っている施設や地下階のある施設の場合、周囲の水が流れ込み、 躯体や設備に被害が出ることになる。車での送迎を行う施設や車での来院は、50ミリ以上になると危険であることも表1から明らかである。
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