レポート/資料

2014年度 No.5「粉塵爆発の発生原因と防止対策について」

2015.1.1

1.はじめに(江蘇省昆山市の研磨工場における粉塵爆発事故)

2014年8月2日午前、江蘇省昆山市開発区に所在する自動車ホイールハブ研磨工場で粉塵爆発が発生し、75名が死亡、180名以上が負傷するという大事故が発生しました。本稿では、当該研磨工場における事故事例を参考に、粉塵爆発に至った原因及び粉塵爆発の防止対策をご紹介します。

2.事故事例分析

(1)粉塵爆発とは

粉末状或いは霧状の可燃物質が空気中に飛散している状況下で、火気と接触して発生する爆発を粉塵爆発と呼びます。粉塵爆発は二次的な爆発を誘発する可能性があり、その場合の破壊力は巨大なものとなります。一回目の爆発による衝撃波は設備や地面の上に溜まった粉塵を巻き上げ、爆発後の短時間で爆発発生場所が低圧になり、周囲の気流が当該場所へ向かって流れ込み、巻き上がった粉塵と混合して、二次爆発が発生します。

(2)粉塵爆発が発生するメカニズム

粉塵爆発が発生する条件として、次の3つが挙げられます(ご参考:図1)。

①粉塵が可燃性を有する。

石炭・硫黄・木くず・小麦粉・乾燥剤・合成樹脂(ポリエチレン)・アルミニウム・マグネシウム・チタンの粉末等が、体積と比較して比較的表面積が大きい状態で空気中に浮遊している場合、これらは燃焼しやすい状態にあることが分かっています。アルミニウム粉末を例にとると、アルミニウム粉末が空気中の酸素及び水分子と反応して熱量を放出し、更に水素が燃焼を加速させ、爆発に至ります。

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