タイ国民投票の結果と今後の展開【インターリスクタイレポート(2016年8月)】
2016.8.1
1.はじめに
2016年8月7日、タイで新憲法草案の賛否を問う国民投票が実施され、94%開票時点の速報(正式な結果は8月10日に公表予定)では賛成61.4%、反対37.9%で可決される見通しとなりました。
新憲法草案は、2017年に予定されている民政復帰後も軍が主体的に政治へ関与できる内容となっており、民主性が大きく後退するとしてタクシン派(タイ貢献党)、反タクシン派(民主党)ともに反対を表明していましたが、2014年の軍事クーデター以降、2年以上に渡って継続している安定した状態を国民の多くが支持した結果と言えます。
今後、2017年の総選挙に向けて関連法の整備等が進められますが、選挙では圧倒的に有利なタクシン派は、選挙結果によらず軍が政治へ関与できる新憲法草案により強く反対しており、今まで軍によって厳しく制限されていた政治運動が再開されると、同派と軍が衝突する可能性も考えられます。
2.新憲法草案の概要
今回の新憲法草案と過去(1997年、2007年)に制定された憲法の比較を下表にまとめます。
新憲法草案の主なポイントは以下の3点です。
- 軍が上院の実権を掌握する。
- 首相を下院以外からも選出できるようにすることで、軍関係者が首相に就任することも可能となる。
- 政党の解散権限を持つ憲法裁判所の判事を上院が任命することにより、軍が党派間の争いに対して直接的に関与できる。
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