タイにおける外国人の交通安全 ―安全な運転、乗車、および歩行に欠かせないポイント―【InterRisk Thailand Report(2026年5月)】
[このレポートを書いたコンサルタント]
- 会社名
- InterRisk Asia (Thailand) Co., Ltd.
- 執筆者名
- Assistant Manager Akimasa Tsutsumi
Training Program Development & Consulting, Head of Department Chalisa Masuk
2026.5.27
- タイの道路環境は複雑であり交通マナーや状況が母国と異なるため、タイを訪問する外国人にとっては困難が生じる場合があります。
- 交通事故は依然として重大なリスクとなっており、特に自動車およびバイクの運転中、ならびに歩行者にとって大きなリスクです。
- 左側通行や適切な免許証などの基本的な交通ルールを理解して交通状況へ注意を払い、現地の運転習慣に適応することが必要不可欠です。
- バイク運転中はより高いリスクに遭遇するため、安全装備の装着、有効な書類の所持、および運転ルート計画などの適切な準備が、安全な移動には必要です。
はじめに
活気に満ちた人気の旅行先であるタイは、賑やかな都市から美しい自然景観まで、多様な魅力を提供しています。しかし、現地の交通事情や運転文化に慣れていない外国人にとって、タイの道路を利用することは容易ではありません。例えば、深刻な渋滞、予測できない車線変更、そして多くのバイクと車両が混在する交通環境などが挙げられます。タイ道路安全センター(the Thailand Road Safety Center, ThaiRSC)のデータによると、交通事故は依然として大きな懸念事項であり、2025年には負傷者32,352人および死亡者579人が報告されています。また、全事故の約89.5%はオートバイが関係しています。
これらのリスクは、旅行のピーク時、ならびにバンコクおよびプーケットといった主要都市において特に顕著です。これらの課題を踏まえ、外国人来訪者がより安全かつ安心してタイの道路を利用するためには、運転や乗車、歩行の際の基本的な安全対策を理解することが重要です。本記事では、そのためのタイの主要な交通ルールや慣習とチェックリストを紹介します。
タイの道路を利用する外国人来訪者のための重要ポイント
外国人来訪者がタイの道路を利用するにあたっての、安全確保および現地規制の遵守のために最初に行うべき重要なステップを下記に示します。タイ滞在中の交通リスクを軽減し、旅行を安全に楽しむためには、事前の準備が重要です。外国人来訪者は適切な書類を持っていることを確認し、基本的な交通ルールを理解する必要があります。また、道路を利用する前に計画を立てることが重要です。
- 有効な国際運転免許証 (International Driving Permit, IDP) またはタイ運転免許証の携帯
- 適切な保険への加入
- 適切な安全装置の常時着用(ヘルメットやシートベルト)
- 運転前の車両点検
- 事前のルート計画
- 運転前および運転中にアルコールを摂取しないこと
タイで外国人が巻き込まれた交通事故の事例
タイの道路事情は複雑かつ流動的です。自動車、バイク、公共交通機関、歩行者の全てが同じ空間を共有しており、それぞれの動きはしばしば予測不可能です。バンコクのような大都市では、突然の車線変更、車の間を縫って走行するバイク、急停止などは日常茶飯事です。地元の人にとっては普通のことかもしれませんが、タイの独特の交通環境に慣れていない観光客にとっては、非常に難しいと思われます。
1.自動車運転手によるバイク運転手へのあおり運転
この事件はバンコクのスクンビット道路で発生しました。バイクの運転手と外国人が運転する自動車が軽微な衝突を起こしました。衝突の後、両者は口論になり、運転手が複数の車線を越えてバイク運転手を追いかけ、衝突しました。バイク運転手はバイクから投げ出され、柱に衝突しました。その負傷が原因でバイク運転手が死亡しました。この事件は、悪質なあおり運転や感情的な反応によって、些細な事故がいかにして死亡事故へとエスカレートし得るかを浮き彫りにしています。このような状況を防ぐため、道路利用者は常に冷静さを保ち、衝突を避け、適切な法的ルートを通じてトラブルや紛争を解決する必要があります。この事故は、タイの交通環境を如実に反映しています。タイでは、デリバリーを含みバイクが広く利用されており、路上でトラブルや紛争が発生する可能性が増加しています。
2.アラブ首長国連邦(UAE)の観光客によるパンガー県で複数バイクの衝突事故
この事故は、パンガー県のPhet Kasem道路で発生しました。UAEからの4人の観光客のグループが、車列を組んでバイクに乗っていたところ、彼らのバイクの間で深刻な衝突が発生し、1人が死亡、3人が負傷する事故となりました。この事故は、特に高速道路で安全な距離を維持せずに集団走行することの危険性を浮き彫りにしています。このような事故を防ぐために、ライダーは常に安全な車間距離を保ち、集団走行を避け、周囲の交通状況に十分に注意を払う必要があります。
3.パタヤの夜間事故で外国人観光客が死亡した事故
チョンブリ―県パタヤのマブプラチャン貯水池近くで、夜間に外国人男性がバイクを運転していたところバランスを崩し、駐車していたトレーラーに衝突しました。その後、バイク運転手は死亡しました。この事故は、視界が悪く障害物を発見することが困難な夜間の走行の危険性を強調しています。これらのリスクを最小限に抑えるために、ライダーはスピードを落とし、適切な照明を使用する必要があります。また、視界が悪い状況で移動する際には細心の注意を払う必要があります。
4.道路横断中に衝突されたアイルランド人観光客の事故
パンガー県で、54歳のアイルランド人男性が夜間に道路を横断中にSUVにはねられ、その負傷が原因で死亡しました。この事故は、視界が悪い状況や、自動車が歩行者に道を譲らない場合における、歩行者の脆弱性を浮き彫りにしています。安全性を向上させるために、歩行者は可能な限り指定された横断歩道を利用し、左右両方向から慎重に交通状況を確認した上で、横断前に車両が完全に停止していることを確認する必要があります。
これらの事故は、特に現地の交通状況や運転行動に慣れていない可能性のある外国人観光客にとって、タイの道路における現実的かつ継続的なリスクを反映しています。このような不慣れな状況は、事故の可能性を著しく高める可能性があります。これらのリスクを軽減するために、観光客は現地の交通ルールを理解し、異なる道路環境に注意を払い、タイで運転、乗車、歩行する際に安全な習慣を身につけることが不可欠です。