個人情報保護法改正の動向と今後企業が考えるべきこと【企業リスクインフォ 2014年度 No.2】
2014.9.1
はじめに
個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)が2005年に全面施行されてから、間もなく10年が経過する。ここに来て、めまぐるしいIT(情報技術)の進化によって、個人情報保護法も改正の必要性に直面していた。去る2014年7月24日、個人情報保護法改正に向けた大綱と位置付けられる「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」(以下「大綱」という)へのパブリックコメントが締め切られた。現在は同大綱及び大綱へのパブリックコメントに寄せられた意見を踏まえ、2015年の通常国会への法案提出に向けて具体的な条文作成の作業に入っているところである。
本稿では、法改正の背景及び大綱のポイントを紹介し、法改正を控え企業がおさえておくべきポイント、注意点などを解説する。
1. 個人情報保護法改正の背景と見直し方針
個人情報保護法改正の大きな方向性は、2013年12月に出された「パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針」を背景としている。この方針はアベノミクスの第二の矢、成長戦略として位置付けられており、パーソナルデータをいかに利活用するかを中心に、以下の方向性が示されている。
1.1 ビッグデータ時代におけるパーソナルデータ利活用に向けた見直し
方針では、「パーソナルデータの利活用のためのルールが曖昧なために、事業者が利活用に躊躇している」との問題提起がなされている。これを解消するために、
- 保護対象のパーソナルデータの範囲の明確化
- 個人データを「個人特定性が低減されたデータ」に加工することで第三者提供にあたり本人同意を要しない枠組み(併せて提供された側に法的義務を課す)の検討
- 現在法律に定義されていないセンシティブデータについて特性に応じた取扱の検討
が示されている。
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