格付機関による事業会社のERM評価【企業リスクインフォ(2013年11月)】
2013.11.1
はじめに
ERM(EnterpriseRiskManagement)は、2004年9月にCOSO(米国のトレッドウェイ委員会組織委員会の略)から公表された全社的リスクマネジメントに関するフレームワークに端を発するリスク管理手法のことをいうが、格付機関が実施する格付において、金融機関のみならず事業会社においてもERMが考慮され始めている。現在、格付は事業会社における資金調達コストに大きな影響を与えるキーファクターとなっており、事業会社としても格付機関の動向には注視しておく必要がある。
本稿では、格付機関であるスタンダード&プアーズレーティング・サービシズ社(以下、S&P社という)および格付投資情報センター社(以下、R&I社という)における事業会社の格付手法を簡単に概観し、事業会社に求められるERMについて解説する。
1. S&P社における事業会社の格付手法
- S&P社における企業分析では、公正かつ公平に、しかも顕著な問題がすべて考慮されるよう【図1】のように分析プロセスが整理されており、その分析プロセスに基づいて格付が実施されている。
- 各分析プロセスで考慮されているリスクとして、一方でカントリーリスク、産業リスク、競争上の地位を踏まえて事業リスクが判断され、他方でキャッシュフロー/レバレッジを踏まえて財務上のリスクが判断され、両者によって一次的な拠り所(アンカー)が決定される。
- さらに、アンカーの修正要因として、多様性・ポートフォリオ効果、資本構成、流動性、財務政策、マネジメント・ガバナンス、同等の格付け分析などが考慮され、単体での信用プロフィールが判断される。
- そして最後に、グループや母国からの支援が加味されて、最終的な発行体の信用レートが決定され、格付において実施する分析プロセスが完了する。
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