
2011年度 No.6「福祉介護施設・事業所における危険予知訓練(KYT)の効果的な活用」
2012.3.1
1. はじめに
危険予知訓練(KYT)とは、中央労働災害防止協会が中心となって普及に努め、製造現場などで事故予防に大きな成果を上げている職員教育手法です。
本稿では、福祉介護サービス提供にかかる事故から利用者の身を守るために、福祉介護施設・事業所の現場に応用した「福祉介護版KYT」について紹介します。
2. 福祉介護施設・事業所における事故予防対策の中でのKYTの位置づけ
図1をご覧ください。ハインリッヒの法則(※)の考え方を福祉介護の現場に置き換えた上で、事故予防対策との関係を表した図です。
この図から「事故報告書」の分析は「発生した事故」、「ヒヤリハット報告書」の分析は「発生したヒヤリハット」に着目した取組みだと考えることができます。
一方、KYTはヒヤリハットの更に背後にある無数の「不安全行動」「不安全状態」に着目した取組(※)ハインリッヒの法則みだといえます。
つまり前者は「発生した事実」や「発生しかけた事実」を活用して事故の再発防止を図る取組みであり、後者は無数にある不安全行動や不安全状態に「自ら気づき」取り除くことで事故の発生を未然に防止する取組みだといえます。後者について言い換えるなら「危険に気づく能力(気づきの感性)」を利用して事故を予防する取組みだということができます。
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