二酸化炭素消火設備の誤放出事故と事故防止対策について <災害リスク情報 第92号>
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2021.4.26
【要旨】
2021年4月、地下駐車場で二酸化炭素消火設備の誤放出で6名の方が死傷しました。被害に遭われた皆様には、心からお見舞い申し上げます。
建物や施設・設備の利用者に対して管理者は当該設備の危険性を周知するとともに、同設備周辺で工事を行う事業者は有資格者を配置することを徹底するなどの事故防止対策が重要となります。
同設備は東京消防庁管轄区域内だけでも4,000件以上設置されており、今後の類似事故の発生防止に繋げるため、本稿では誤放出が相次ぐ二酸化炭素消火設備の危険性について、過去の事例と併せて事故の予防対策について取り纏めました。
1. 二酸化炭素消火設備の危険性
国内では二酸化炭素消火設備の誤放出事故により、死傷者が相次いで発生している。過去30年間の主な誤放出事故は表1のとおりである。
過去30年の二酸化炭素消火設備の誤放出による事故例(1)
1) 「高圧ガス保安協会事故事例データベース」、「高層機械式立体駐車場におけるガス系消火設備のあり方検討会報告書」「東京都新宿区における二酸化炭素消火設備の放出事故を受けた注意喚起について」に記載された事例を基に当社にて作成
(1)二酸化炭素消火設備とは
二酸化炭素消火設備とは、不活性ガス消火設備2の一つとして消防法で規定されており、酸素濃度を低下させる窒息効果、ガスを放出する際の気化熱による冷却効果、消火ガスの熱の吸収による不活性効果によって火災を鎮圧させる仕組みとなっている。
このようなガス消火設備は、消火薬剤が建物や機械の隙間に入り込むことができ、また電気的な絶縁性も高いことから・・・
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