レポート/資料

令和6年の大雨被害と水害への備え ~その1~ 「災害リスク情報(第98号)」

2024.10.4

レポートの
ポイント
  • 令和6年も低気圧や前線の影響で、各地で線状降水帯が発生。
  • 特に令和6年7月25日 からの東北地方日本海側を中心とした大雨や令和6年9月20日からの能登半島の大雨では、多大な被害が生じた。
  • 令和6年9月までの大雨被害の概要と、特に大きな被害が生じた7月下旬東北地方の大雨、および9月下旬能登半島の大雨について解説。

※ここでは、「令和6年の大雨被害と水害への備え~その1~」から、能登半島の大雨について抜粋してお伝えします。

9月下旬 能登半島の大雨

(1)大雨の原因と降水量の分布

2024年9月20日頃から秋雨前線が日本海から東北地方付近に停滞し、21日は前線上の低気圧が日本海を東に進んだ。また、22日には台風第14号から変わった低気圧が日本海から三陸沖へ進んだ。低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で大気の状態が非常に不安定となり、東北地方から西日本にかけての広い範囲で雷を伴った大雨となった。特に、秋田県では20日明け方、石川県では21日午前中に線状降水帯が発生した。石川県能登では、線状降水帯により大雨被害の危険度が急激に高まったことから、21日に輪島市、珠洲市及び能登町に大雨特別警報が発表された。

図1は9月20日から23日における24 時間降水量の期間最大値、図2は同期間中の降水量の合計値を示す。石川県輪島市や珠洲市では24時間降水量で観測史上1位の値を更新するなど記録的な大雨となった。

【図1】2024年9月20日から23 日における24 時間降水量の期間最大値(気象庁)

【図2】2024年9月20日から23日における降水量の期間合計値(気象庁)

(2)河川氾濫

記録的な大雨により、石川県では県管理の19水系26河川において氾濫が発生した。9月25日5:00時点で7河川は概ね浸水が解消しているが、19河川は浸水被害が続いている。図3は石川県内で氾濫による浸水被害が発生した河川を示す。

【図3】9月下旬 秋雨前線による石川県管理河川の氾濫発生場所と被害写真 (国土交通省のデータをもとに国土地理院地図にMS&ADインターリスク総研が加筆)

(3)土砂災害

土砂災害の件数については前項であげているが、ここでは被害状況を確認する。

図 4は9月25日7:00 時点で確認されている石川県内の土砂災害の発生箇所とその状況を示す。この辺りは2024年1月1日16時10分頃に発生した能登半島地震で最大震度7を観測している。地震の影響で地盤が緩み、少量の雨でも土砂災害の発生するリスクが高かったことから、がけ崩れや地すべり、土石流等の被害が拡大したとみられる。これまでに土砂災害で死者4人、安否不明者4人となっているが、被害の全貌は未だ見えておらず、さらに被害が増える可能性がある。

【図4】9月下旬 秋雨前線による石川県内の土砂災害発生場所と被害写真 (国土交通省のデータをもとに国土地理院地図にMS&ADインターリスク総研が加筆)

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