レポート/資料

感染症BCPの見直しポイント ~新型インフルエンザ等対策政府行動計画・ガイドライン改定を踏まえて~

2025.4.1

要旨
  • 新型コロナへの対応やその課題等を踏まえて、2024 年 7 月、8 月に新型インフルエンザ等 対策政府行動計画及びガイドラインが改定された。
  • 本稿では、各事業者が主に参照する「事業者・職場における新型インフルエンザ等対策ガイド ライン」の新旧比較をしたうえで、感染症 BCP の見直しポイントを解説する。

1. 新型インフルエンザ等対策政府行動計画・ガイドライン改定について

新型コロナの感染拡大により国民生活及び社会経済活動は大きく影響を受けることとなった。この経験により新型コロナへの対応で明らかとなった課題や、関連する法改正等を踏まえ、新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症以外も含めた、幅広い感染症の危機に対応できる社会を目指すため、新型インフルエンザ等対策政府行動計画(以下、行動計画)の抜本的な改定が行われ、2024年7月2日に閣議決定された。また、新型インフルエンザ等対策政府行動計画ガイドライン(以下、ガイドライン)についても行動計画の改定に合わせた修正や、新たな行動計画の構成に沿った新規分野の対応検討が進み、2024年8月30日に改定された。

本稿では主に、ガイドラインのうち多くの事業者に関わる「事業者・職場における新型インフルエンザ等対策ガイドライン」(以下、事業者ガイドライン)に基づいて、事業者の感染症BCP改定ポイントを説明する。なお、その他のガイドラインの中には、一部の事業者(医療機関や保健所、製薬会社など)に関わるものもあるが、それらについては本稿では触れないので予めご了承いただきたい。

2. 事業者ガイドラインの新旧比較

事業者ガイドラインは、事業者が感染症BCPを見直すにあたり最初に確認するべきガイドラインであるが、中核となる「第2章業務計画およびBCP策定・実施の留意点」の項目立ては以下のとおり新旧で変わりはない。

  • 新型インフルエンザ等対策体制の検討・確立
  • 感染対策の検討・実施
  • 新型インフルエンザ等に備えた事業継続の検討・実行
  • 教育・訓練、点検・改善

また、上記各項目の具体的な改定内容においても、事業者が押さえるべきポイントは新旧で大きく変わらないが、「幅広い感染症」の危機に臨機応変に対応できるよう記載内容が一部見直されているため、ここでは、上記各項目ごとに主な改定箇所を新旧比較する。

(1)新型インフルエンザ等対策体制の検討・確立

本項目に関しては、「指揮命令系統の構築」や「権限移譲」というワードが追記された。特性の異なる「幅広い感染症」に臨機応変に対応するためには、判断者のもとに十分かつ正確な情報が集まる仕組の構築が必要不可欠であることから追記されたと推察される。

また、外国人従業員が増加している現状を踏まえ、日本語によるコミュニケーションが困難な従業員等へ配慮についても追記された。

(2)感染対策の検討・実施

本項目に関しては、「幅広い感染症」へ対処することを前提に、例えば「38度以上の」など特定の感染症に限定される記載は削除されている。特性の異なる「幅広い感染症」に臨機応変に対応するためには、ホームページ等を通じて都度情報を入手し、最新の知見に基づき対応をしていく事が重要である。

また、職場内で従業員が発症した場合の留意点として…

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