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PLレポート「製品安全 (2025年6月号)」

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2025.6.2

国内外の製品安全、PLリスクに関連するニュースを紹介するとともに、昨今の技術革新や市場の変化などを踏まえた製品安全に関わる旬のトピックスを連載する「PLレポート(製品安全)」。2025年6月号では以下のトピックを取り上げています。

  • 経済産業省が「製品安全4法改正に関する FAQ」を公開
  • カナダにおける製造物責任(PL)~米国との相違点を中心に~
  • PFAS をめぐる日米の最新動向

ここでは以上のトピックの中から、「経済産業省が「製品安全4法改正に関する FAQ」を公開」についてお伝えします。

経済産業省が「製品安全4法改正に関する FAQ」を公開

経済産業省は2025年5月16日、「製品安全4法改正に関する FAQ」を公開しました。

改正製品安全4法※1 が2025年12月25日から施行されるにあたり、経済産業省ウェブサイトの製品安全ガイドでは、改正点について説明する文書が随時公開されています※2

本稿では、新たに規制の対象となる乳幼児用玩具(3歳未満向け玩具)を中心に、本サイト上 で掲示されたFAQの内容も踏まえ、ポイントをみていきます。

今回の改正の背景には、これまで日本において、玩具を含めた多くの子供用の製品に関し、 国が定める技術基準への適合などを前提に販売を認めるといった、いわゆる事前規制が設けら れていない点がありました。そのため、ネット販売などを経由した海外からの製品を含め、安 全性が確認できない製品の流通を防止できないことが課題となっていました。

そこで今回、消費生活用製品安全法(以下「消安法」)に「子供用特定製品」という新たなカ テゴリが設けられ、「乳幼児用玩具」(3 歳未満向け玩具)および「乳幼児用ベッド」が指定され ることとなりました(現時点で指定されているのはこれら 2 つのみ)。

「乳幼児用玩具」の製造・輸入事業者においては、省令の定めるところに従い、技術基準適 合義務と警告表示義務を履行し、製品に「子供PSCマーク」を表示するといったことが求めら れます(図 1 の左のマーク)。

一方で、今回の改正以前から消安法の特別特定製品に指定されていた「乳幼児用」ベッドに ついては、これまでも特定特別製品であったため技術基準の内容や必要な表示内容について基 本的に変更はありませんが、子供PSCマークへの貼り換えが求められます(図 1 の右のマー ク)。

図1:子供PSCマーク

今回公表された FAQ においては、乳幼児用玩具に関し、次のような質問と回答が掲載されて います(広く参考となると思われるものを抜粋し、弊社にて再構成)。

表 1 「製品安全 4 法改正に関する FAQ」からの抜粋(一部)

質問 回答
「乳幼児用玩具(3歳未満向けの玩具)」とはなにか。
  • 出生後 36 月未満の乳幼児の遊戯に使用することを目的として設計された玩具を指す。
  • この規制により、出生後 36 月未満の乳幼児の玩具に起因する、部品の誤飲による窒息や身体への外傷等の危害の発生を防止することが目的である。
「3歳未満向け」の判断基準はなにか。
  • 製品の対象年齢は、以下を総合的に勘案して判断する。
     ①合理的な根拠に基づいていること
     ②広告において意図されている対象年齢に矛盾しないこと
     ③類似する他の製品に設定された対象年齢の下限を上回らないこと
     ④一般消費者が合理的に推測できる対象年齢の下限を上回らないこと
ST基準との関係はどう考えるべきか。
  • 一般社団法人日本玩具協会が策定する「玩具安全基準(ST-2025)2025.4.1」に適合する乳幼児用玩具については、技術基準に適合すると判断できる。
JISおよびSGとの関係はどう考えるべきか。
  • 乳幼児用玩具の技術基準への適合を確認するために活用できるJIS又はSGは確認できていない。
食品衛生法との関係はどう考えるべきか。
  • 食品衛生法と消安法は、法目的が異なるため、対象年齢の考え方、規制の対象とする製品の範囲、基準の内容等について異なる場合がある。
  • 食品衛生法で規制の対象となるおもちゃが、そのまま消安法の規制の対象となるものではない。
今後、玩具の規制対象範囲を広げる予定はあるか。
  • 現時点で決まった予定はない。
  • 国内外における製品事故の態様や、諸外国での規制の状況等を踏まえ、必要に応じ検討を行っていく。

経済産業省は今後、「子供用特定製品」の対象を広げていくことを検討しています。広く子ど もに関係する製品を取り扱う事業者においては、今後の動きを注視し、求められる内容と期限 を把握した上で、対応を進めていくことが望まれます。

【参考情報】
出所:製品安全 4 法改正に関する FAQ:
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/contents/gangu_faq_2.pdf

1)正式名称は「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律」。
2)ほかにも、「乳幼児用ベッドに係るよくあるご質問(事業者の皆様向け)」が 4 月 18 日に公開され ている。https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/contents/babybed_faq_1.pdf

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