アンケート調査「フィッシング詐欺に関する実態調査」【リサーチレター(2026年6月)】
[このレポートを書いた研究員]

- 会社名
- MS&ADインターリスク総研株式会社
- 部署名
- 基礎研究部
- 執筆者名
- 山崎 太斗 Taito Yamazaki
2026.6.1
- SMSを用いたフィッシング詐欺は、幅広い年代にとって身近な脅威となっている。直近1ヶ月で、45.2%がフィッシング詐欺と思われる連絡を受信している。
- 受信したSMSは、宅配業者、ECサイト、クレジット会社を装ったものが中心だった。被害にあったフィッシング詐欺の手口は、45.9%が金融機関、37.1%が宅配業者であった。
- フィッシング詐欺の被害状況は、84.1%が「被害なし」、8.9%が「被害にあいかけた」、7.0%が「被害にあった」となった。被害にあった理由では、39.0%が「本物らしく感じた」と回答した。
- 年代別で分析すると、20代にやや特徴が見られた。具体的には、詐欺被害にあった回答者、詐欺に騙されないと思っている回答者、詐欺対策を実施していないという回答者が、他年代よりも比較的多いことが分かった。幅広い年代への注意喚起に加えて、20代に対する啓発も、今後さらに検討する余地が残されていると考える。
1. 調査の目的・背景
近年、スマートフォンやパソコンの普及に伴い、個人情報を不正に取得しようとするフィッシング詐欺の被害が社会問題となっている。巧妙化する手口により、年代やITリテラシーに関わらず多くの人々が被害に遭うリスクが高まっており、被害防止のための啓発や対策の重要性が一層増している。
本調査は、フィッシング詐欺に関する被害実態や対策意識について、幅広い年代を対象にアンケートを実施した。現状の把握と今後の課題を明らかにすることを目的とした調査である。本報告書では、アンケート結果をもとに、被害の発生状況や対策の実施状況、年代別の傾向などについて分析を行った。
2. 調査の概要
(1) 調査実施期間
2026年1月30日~2026年2月4日の間に、インターネットによる調査を実施した。
(2) 回答者数 1,000人(男性500人、女性500人)
20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60~69歳の年齢5区分毎に男女100人
スマートフォンでSMS(ショートメッセージ)を受信できる回答者が対象
(3) 居住地域特性
| 地域 | 回答者数 |
|---|---|
| 北海道・東北 | 106 |
| 関東 | 417 |
| 中部 | 160 |
| 関西 | 182 |
| 中国・四国 | 75 |
| 九州・沖縄 | 60 |
| 全体 | 1,000 |
3. 調査結果
アンケート結果を、「詐欺被害に対する認知」、「詐欺の被害状況」、「詐欺被害の手口」、「詐欺被害対策」の順にまとめた。
(1) SMSフィッシング詐欺に対する認知
全回答者(n=1,000)に対して、自身が詐欺に騙されないと思っているかどうか質問したところ、「絶対に騙されない」もしくは「おそらく騙されない」が54.7%、「騙されるかもしれない」もしくは「騙される可能性が高い」が45.3%となった。
【図1】あなたご自身は、詐欺には騙されないと思っていますか(ひとつだけ)(n=1,000)


全回答者(n=1,000)に対して、直近1ヶ月以内にフィッシング詐欺と思われるSMS(ショートメッセージ)を受信したかどうか質問したところ、45.2%の人が「受信した」と答え、54.8%の人が「受信していない」と答えた。
【図2】直近1ヶ月で、フィッシング詐欺と思われる連絡を、SMS(ショートメッセージ)で受信しましたか。(ひとつだけ)(n=1,000)


直近1ヶ月でフィッシング詐欺と思われる連絡をSMSで受信した回答者(n=452)に対して、直近1年間でフィッシング詐欺と思われるSMSを何通受信したかを質問したところ、13.3%が「1通」、38.1%が「2~5通」、13.9%が「6~10通」、34.7%が「11通以上」と回答した。
【図3】直近1年間でフィッシング詐欺と思われる連絡を、SMS(ショートメッセージ)で何通程度受信しましたか。(ひとつだけ)(n=452)


直近1ヶ月でフィッシング詐欺と思われる連絡をSMSで受信した回答者(n=452)に対して、受信したSMSがどのような相手を装ったフィッシング詐欺だったかを質問したところ、経験がある人のうち61.5%が「宅配業者」、48.7%が「ECサイト」、43.4%が「クレジット会社」からのSMSを受信したと答えたことが分かった。
【図4】あなたが受信したSMS(ショートメッセージ)は、何を装ったフィッシング詐欺でしたか。(いくつでも)(n=452)


(2) SMSフィッシング詐欺の被害状況
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全回答者(n=1,000)に対して、フィッシング詐欺と思われるSMSで被害にあったことがあるかどうか質問したところ、7.0%が「被害にあった」、8.9%が「被害にあいかけた」、84.1%が「被害にあっていない」と回答した。
【図5】あなたは今まで、フィッシング詐欺と思われるSMS(ショートメッセージ)の被害にあったことがありますか。(ひとつだけ)(n=1,000)


SMSフィッシング詐欺被害にあった回答者(n=70)に対して、フィッシング詐欺による合計被害額を質問したところ、「1万円未満」が38.6%、「1~10万円未満」が17.1%、「10~100万円未満」が14.3%、「覚えていない」が30.0%となった。
【図6】あなたの、これまでのフィッシング詐欺での合計被害額はいくら程度ですか。(ひとつだけ)(n=70)


(3) SMSフィッシング詐欺の手口
被害にあった、もしくはあいかけた回答者(n=159)に対して、フィッシング詐欺の手口を質問したところ、「金融機関」が45.9%、「宅配業者」が37.1%であった。
【図7】あなたが被害にあった(あいかけた)フィッシング詐欺は、何を装った手口でしたか。(いくつでも)(n=159)


被害にあった、もしくはあいかけた回答者(n=159)に対して、フィッシング詐欺被害にあったもしくはあいかけた理由を質問したところ、「話が本当のように感じられた」が39.0%であった。
【図8】あなたがフィッシング詐欺の被害にあった(あいかけた)理由は何だと思いますか。(いくつでも)(n=159)


(4) SMSフィッシング詐欺に対する対策
全回答者(n=1,000)に対して、この1年間で、フィッシング詐欺に対する対策を実施したかを質問したところ、「何も実施していない」が58.6%であった。
【図9】この1年間で、怪しいフィッシング詐欺に関する対策を何か実施しましたか。(いくつでも)(n=1,000)


全回答者(n=1,000)に対して、正規の案内であるにも関わらずフィッシング詐欺であると誤認し、本来開封すべき受信物を開封せず、その後正規の連絡先とトラブルに発展した経験があるか聞いたところ、「ある」が4.8%、「ない」が95.2%であった。
【図10】あなたは、正規の案内であるにも関わらずフィッシング詐欺であると誤認し、本来開封すべき受信物を開封せず、その後正規の連絡元とトラブルに発展した経験はありますか。(ひとつだけ)(n=1,000)


4. 年代別分析の結果と得られた考察
3.調査結果を年代別に分析した結果、いくつかの特徴的な傾向と考察が得られた。本章では、年代別分析の結果とそこから得られた考察を述べる。
(1) フィッシング詐欺の被害にあった回答者の年代別傾向
図5で示しているフィッシング詐欺の被害状況を、年代別に分析した。その結果、「あった」、「あいかけた」を合計すると、20代が26.5%、30代が15.5%、40代が13.5%、50代が9.0%、60代が15.0%となった。全体平均15.9%に対して、20代が平均を10.6%pt上回る結果となった。
【図11】あなたは今まで、フィッシング詐欺と思われるSMS(ショートメッセージ)の被害にあったことがありますか。(年代別、ひとつだけ)


(2) 詐欺に騙されないと思っている回答者の年代別傾向
フィッシング詐欺に騙されないと思うかという図1の回答を年代ごとに集計し、回答傾向を分析した。
図12は、回答者を年代ごとに表示した回答結果である。「絶対に騙されない」と「おそらく騙されない」の合計を見ると、20代が61.5%、30代が52.0%、40代が46.0%、50代が53.0%、60代が61.0%となった。全体平均54.7%に対して、20代が平均を6.8%pt、60代が平均を6.3%pt上回る結果となった。
【図12】あなたご自身は、詐欺には騙されないと思っていますか。(年代別、ひとつだけ)


(3) フィッシング詐欺への対策状況の年代別傾向
フィッシング詐欺に関する対策の実施状況は、図9の通り、58.6%が「何も実施していない」であった。これを、年代別に分析した結果が図13である。20代が67.0%、30代が57.5%、40代が56.5%、50代が56.5%、60代が55.5%となった。
全体平均58.6%に対して、20代は平均を8.4%pt上回る結果となった。
5. まとめ
本調査から、SMSを用いたフィッシング詐欺は幅広い年代にとって身近な脅威であることが分かった。全回答者の約半数の45.2%が直近1ヶ月以内に不審なSMSを受信し、被害経験があると答えた回答者は7.0%、被害にあいかけたと答えた回答者は8.9%であった。怪しいSMSは宅配業者、ECサイト、金融機関など、日常生活と密接に関わる業者を装ったものが多く、被害要因は「話が本当のように感じられた」ことが最も多かった。一方、フィッシング詐欺に対する対策を何も実施していない回答者が、全回答者のうち58.6%と過半数であり、フィッシング詐欺に対する注意喚起や対策の浸透は十分とはいえないことを示唆している。年代別の分析を行ったところ、被害経験、詐欺に対する認識、詐欺対策において、20代にやや特徴が見られた。幅広い年代への注意喚起に加えて、20代に対する啓発も、今後さらに検討する余地が残されていると考える。
本調査が、実効性の高い被害防止策の検討に役立つことを期待する。
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