カスハラ・求職者セクハラ対策の義務化受け、企業の対応で厚労省が通達・Q&Aを公表
2026.5.26
厚生労働省は2026年4月24日、ハラスメント防止措置義務規定等に関する通達を発出した。これは25年6月の改正労働施策総合推進法公布を受けたもので、26年10月の同法施行に伴うカスタマーハラスメント(カスハラ)対策と求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策の義務化で企業に求める実務対応が示された。
企業のカスハラ対策については、同省が26年2月に公布した「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」で、事業主が雇用管理上講ずべき措置や留意点を掲載。今回の通達は、この法令や指針の運用、行政解釈を示す資料の位置付けだ。同省は通達に併せて、判断に迷いやすい事項を補足する目的で、解釈事項を整理したQ&Aを公表した。
カスハラは、①職場で行われる顧客等の言動で、②業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超え、③労働者の就業環境が害される――の3つの要件をすべて満たすものと定義される。ここでいう「顧客等」には、顧客や取引の相手方、施設の利用者その他の事業に関係を有する者が含まれる。また、店舗や施設での対面の言動だけでなく、電話やSNSなどインターネット上で行われる場合も該当する。
事業主が必ず講ずべき措置には、▽労働者を保護する方針の明確化と周知・啓発、▽カスハラや対処内容の周知、▽相談窓口の設定と周知、▽窓口担当者が相談に適切に対応するための仕組みの整備やスキル養成、▽カスハラ発生時の対応(事実確認、被害者への配慮、再発防止など)、▽抑止のための措置――などを含む。
| 措置の種類 | 主な内容 |
|---|---|
| (1)方針の明確化・周知啓発 |
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| (2)相談体制の整備 |
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| (3)発生時の迅速・適切な対応 |
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| (4)カスハラ抑止の措置 |
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| (5)併せて必要な措置 |
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(出典)厚労省指針など
一方で、指針は、カスハラに該当しない事例も挙げている。例えば、障がい者の顧客が、障害者差別解消法が禁じる不当な差別的取り扱いをしないよう求めた場合は、正当な申し入れと受け止め、合理的配慮が必要としている。
なお、Q&Aは、事業主がカスハラ対応を図る際の実務的な指針を提示している。以下は主な例。
- 顧客等の言動がカスハラに当たるかどうかの判断や必要な措置を実施する主体を事業主であると明示。当局は個別事案を判断しない
- 事実確認を目的にした顧客とのやり取りの録音・録画は、個人情報保護法に従って利用目的を事前に明示しておくことで可能。録音・録画していることをその場で伝える義務はないが、顧客が「容易に認識可能とするための措置」が必要
- 今回の改正法は、事業主が顧客等に対して何らかの措置を行う新たな法的権利・権限は設けていない。例えば、悪質なケースには、警告文や出入り禁止処分などの指針が示す対処例などを参考に事業主が決める
同じく、求職者等に対するセクシュアルハラスメント(セクハラ)対策も事業主の義務となる。求職活動等におけるセクハラとは、事業主が雇用する労働者による性的な言動により、求職者等の求職活動等が阻害されるものをいう。指針は、同性に対するものや、性的指向またはジェンダーアイデンティティにかかわらず行われるものも対象となりうるとする。
求職活動等には、採用面接や就職説明会、労働者への訪問、インターンシップ、教育実習、看護実習等が含まれる。OB・OG訪問を行うための飲食店や、就職説明会を行うための貸し会議室、学校のキャンパスやSNS等のオンライン上など通常の職場内に限られない。懇親の場等でも実質上採用活動の延長と考えられる場面も含まれる。
事業主は次のような対策が求められる。▽求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの内容およびこれを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発、▽性的な言動を行った者には厳正に対処する旨の方針や対処内容の就業規則等への規定、▽求職者等と面談等を行う際のルールの明確化、▽労働者・求職者等に周知・啓発、▽求職者等からの相談に応じる窓口体制の整備、ホームページやパンフレット等を通じた周知――など。
【参考情報】
2026年4月24日 厚生労働省HP「職場におけるハラスメントの防止のために」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
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