国交省、グリーンインフラ(GI)のファイナンスガイドライン(中間とりまとめ)公表|資金調達手法と事例を整理
2026.5.29
国土交通省は2026年3月27日、「グリーンインフラ(GI)に関するファイナンスガイドライン(中間とりまとめ)」を公表した。2026年1月に公表した「グリーンインフラ推進戦略2030」における “GIの活用が当たり前の社会”の実現に向けた柱の一つである「資金の調達円滑化」を目的として作成された。官民連携の資金調達の広がりを踏まえ、その具体的な資金調達プロセスや体制構築手法を整理している。
まず、GI事業における資金調達のあり方を以下のように示している。
- GI事業が及ぼす企業等の資産・利益の向上と地域価値向上の関係整理
- GI事業の類型化
- 受益構造の可視化
- 受益構造ごとのファイナンススキームの検討・活用
- 中間支援組織の活用
GI事業の類型化については、GI事業の取組価値を事業の収入に転換できるかという観点で分類している。価値の収入への転換とは、賃料の上昇や売上の増加、コスト削減に伴う収益アップなど、GIの取り組みにより企業の資産や利益の向上につながることを指す。収入への転換可否とGI事業の主体、業種・業界や取組概要によって、表1のとおり5分類に整理し、資金調達の方向性を示している。
次に、それぞれの類型に応じて、GI事業が及ぼす多面的な価値を具体化し、事業の成果と最終的な便益を踏まえ、事業の受益構造を可視化する手法について、ロジックモデルを用いて紹介している。これは、受益者から事業資金を捻出・回収する資金調達スキームを検討することを目的としており、受益構造を可視化した上で、事業者と受益者が対話を行い、関係者の意識醸成を図ることで受益者を事業に積極的に巻き込んでいくことをポイントとして挙げている。
その上で、実際に活用が期待できる具体的なファイナンススキームと具体例について提示している。GI事業は地域住民・民間企業も受益者となりえることから、当ガイドラインにおいては、表2のとおり、6パターンの官民連携スキームを中心に取り上げている。特に、今後活用の広がりが期待される手法として、ソーシャルインパクトボンド(SIB)やネイチャークレジットの活用の方向性を詳しく示している。
今後、「同ガイドラインの周知実践」、「有効な資金調達事例の収集・周知」、「環境価値のクレジット化」、「係る評価手法の検討」などを進め、2030年をめどにGIに関する資金調達手法を確立することとしている。
GIは、単なるインフラ投資ではなく、多面的な機能の最大化を図り、地域社会全体の価値向上にもつながるものとして、幅広いステークホルダーの参画が必要となる。加えて、民間投資の推進が期待されるものの、公共性も担保しながら企業にとっての価値も同時に創出していくというバランスのとり方も必要である。またGI推進には主体間の綿密なコミュニケーションによって、関係者間の目的や関心を満たすことが肝要である。
| 収入 転換 可否 |
GI事業類型 | 事業 主体 |
想定される主な業界/業種 | 取組概要 | 資金調達の方向性 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 可能 | ① | 収入に転換可能な事業 | 既存事業の付加価値創出 | 民間 企業 |
建設業 不動産業等 |
マンション、オフィスビル、商業施設等の雨庭や緑地空間整備 | 事業単体での資金調達が可能 |
| 新規事業にて事業収支獲得 | 全般 | 新規事業にGI効果を持たせることで本業収入の発生・増加する事業 | |||||
| 困難 | ② | 自社の事業リスク低減に資する事業 | 飲料/製紙、半導体、製造業 | 自社リスク低減に繋がる健全な地下水流動保全 | 官民連携での資金調達が可能 | ||
| ③ | 本業が地域のリスク低減に資する事業 | 農業 林業 漁業等 |
施業の工夫等による地下水涵養効果や防災機能の発揮 | ||||
| ④ | 本業以外で社会貢献に取り組む事業 | 全般 | 森林整備等の自然関連活動への寄付やボランティア | 補助金等を軸に資金調達が可能 | |||
| ⑤ | 地域の基礎インフラを担う公的な事業 | 行政 | ― | 流域治水、都市整備、森林整備等の広範囲における行政の取組み | 寄付等の民間調達が可能 | ||
出典:国交省「グリーンインフラ(GI)に関するファイナンスガイドライン(中間とりまとめ)」を元にMS&ADインターリスク総研が作成
| スキーム | 資金提供主体 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 行政 | 民間主体 | ||||
| 金融 機関 |
機関 投資家 |
他、 民間企業 |
|||
| PPP | 官民ファンド・市民ファンド | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 負担付寄付・公有地貸付等を行うPFI | ○ | ○ | |||
| 成果連動型民間委託契約(PFS) ソーシャルインパクトボンド(SIB) |
○ | ○ | ○ | ○ | |
| 価値取引 | カーボン/ネイチャークレジット | ○ | ○ | ○ | |
| 寄付、補助金等 | クラウドファンディング/NTF等 | ○ | ○ | ||
出典:国交省「グリーンインフラ(GI)に関するファイナンスガイドライン(中間とりまとめ)」を元にMS&ADインターリスク総研が作成
【参考情報】
2026年3月27日付 グリーンインフラに係る資金調達に関するガイドライン検討会-国土交通省HP
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000044.html
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