コラム/トピックス

「デジタル取引・特定商取引法等検討会」中間取りまとめを踏まえた企業対応

2026.10.28

2026年9月10日、消費者庁の「デジタル取引・特定商取引法等検討会」は、インターネット取引や訪問販売等における消費者トラブルの増加を踏まえた規制等の対応の方向性を示した中間取りまとめを公表した。本取りまとめでは、消費者の利便性や健全な事業者の創意工夫を不当に阻害しないことに配慮しつつ、消費者の自律的な意思決定を妨げる悪質な勧誘、広告表示、ユーザーインターフェース(以下、「UI」という。)設計等への対応強化、および規制に違反した場合の行政指導や行政処分が検討されている。

<中間取りまとめの主要論点と主な検討内容>

論点 主な検討内容
SNSチャット等、特に勧誘的性質の強い取引への対応
  • 販売業者名、勧誘者名、商品等および販売目的の事前明示の義務化
  • 不実告知、重要事実の不告知、威迫・困惑行為、拒絶後の再勧誘の禁止
  • 契約内容誤認時の取消権、過量販売該当の場合の解除権の付与 など
ダークパターン※を含む広告・UIへの対応
  • 販売条件や役務の提供条件について誤認を招くなどで、消費者の意に反した申し込みをさせようとする表示・UIの規制導入
  • 広告であることが判別しにくい表示の禁止、または広告であることの明示の義務化 など
インターネット取引における契約・解約場面での対応
  • 消費者が取引条件を誤認しないよう、最終確認画面における表示義務の範囲の明確化、電子書面等の交付による取引条件の明確化
  • 返品特約のみを理由とした返品の拒絶、解約手続き妨害の規制導入 など
インターネット取引以外の特定商取引への対応
  • 無料点検を名目に屋根・床下・給湯器などを点検し、不安をあおって不要な高額工事を契約させる「点検商法」、日常の「緊急トラブル」を口実に高額請求する「レスキュー商法」などについて、新たに違法行為と位置づけ行政処分の対象化
  • 商品・役務契約後に紹介料・マージン等の特定利益を示す「後出しマルチ」について、連鎖販売取引規制(誇大広告の禁止や20日以内のクーリングオフなど)の対象とすることの明確化 など
プラットフォーム事業者との連携と法執行の強化
  • 行政処分を受けた販売業者等の誇大広告に関する、広告・SNS・取引プラットフォームへの削除等要請制度の整備
  • 広告表示および相談情報等の収集・分析・検知におけるAI活用
  • インターネット上の不当勧誘の早期差止めのため、適格消費者団体へ差止請求の権限付与 など

出典:消費者庁「デジタル取引・特定商取引法等検討会」中間取りまとめを基にMS&ADインターリスク総研作成

中間取りまとめは制度化前の段階であるが、企業は、示された論点を自社事業に照らして整理し、現時点で実施可能な改善に着手すべきである。特に消費者向け企業は、法改正を待たず、広告表示、UI/UX、勧誘手法、契約手続き、解約条件および導線等を点検し、顧客体験全体を通じて、消費者に誤認や不利益を生じさせる要素がないか確認することが望ましい。

また、自社商品の販売委託等がある場合は、委託先・代理店・販売プラットフォーム等による不適切な表示・勧誘が、委託元企業の信用やブランド価値の毀損につながり得る。そのため、企業は、委託先等を含む販売・勧誘体制の全体像を把握し、各事業者の役割、顧客接点、広告・勧誘の実態、苦情の発生状況等を確認したうえで、リスクに応じた管理・監督を行う必要がある。

※)ダークパターン
消費者を誘導・欺き・強要・操作して、消費者にとって最善とは限らない選択をさせる表示やUIのこと

【参考情報】
2026年9月10日付 消費者庁 HP:
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/meeting_materials/review_meeting_005/assets/consumer_transaction_cms101_260910_01.pdf

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