<第93号>「首都直下地震等による東京の被害想定(2022年5月25日公表)」
2022.10.1
要旨
- 2022年5月25日、東京都が約10年ぶりに「首都直下地震等による東京の被害想定」を見直し、公表した。
- 同被害想定は、2013年に中央防災会議が公表した被害想定で用いられた断層モデル等を基に想定震度や津波高を算出し、近年推進された地震対策を加味したものである。
- 震度や津波高は2013年の中央防災会議と同程度の想定となっている一方、建物被害棟数、死者数は近年の地震対策により、前回の東京都の想定より少なくなっている。
1. 被害想定の変遷
2022年5月25日、東京都が「首都直下地震等による東京の被害想定」を公表した。これは、東日本大震災を踏まえて策定された「首都直下地震等による東京の被害想定(2012年公表)」及び「南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定(2013年公表)」以来、約10年ぶりとなる被害想定の見直しである。本稿では、前回からの変更点および内閣府・中央防災会議の想定との違いを明確にするとともに、主に企業の地震対策に関連する被害想定について概要を紹介する。なお、今回の被害想定に基づく具体的な地震対策は、本稿と同日に発行されたMS&ADインターリスクレポート「BCMニュース<2022 No.03>」を参照されたい。
2005年以降、中央防災会議と東京都から、首都直下地震、南海トラフ巨大地震による被害想定が公表されている。下表に両者から公表された被害想定、地震対策をまとめる。
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