
社会福祉施設等にかかる消防法令の改正について【災害リスク情報 第63号】
2015.3.1
はじめに
本年4月1日に消防法施行令および消防法施行規則その他の関係規定が改正され施行される。この改正により、建物用途区分やスプリンクラー設備、自動火災報知設備等の設置基準が見直されることとなった。
過去の類似の例をみると、平成18年1月に発生した入所者7名が死亡した長崎県大村市の認知症高齢者グループホームの火災を受けて平成21年4月には火災発生時に自力で避難することが困難な者が入所する社会福祉施設等について、自動火災報知設備、火災通報装置、消火器などの消防用設備の設置が義務付けられ、またスプリンクラー設備の設置を行わなければならない施設の範囲が延べ面積1000m2以上から275m2以上へと拡大された経緯があるが、今回の改正は平成22年3月に札幌市の認知症高齢者グループホームで死者7名、平成25年2月に長崎市の認知症高齢者グループホームで死者5名を伴う火災が相次いで発生したことを契機とするものである。
本稿では、今回の改正内容の概要および考慮・検討すべき課題について述べる。
1. 長崎市の認知症高齢者グループホーム火災の概要
平成25年2月8日(金)長崎県長崎市の認知症高齢者グループホームにおいて発生した死傷者を伴う火災の概要を示す。
火災が発生したグループホームは、鉄骨造一部木造・地上4階建ての事務所および共同住宅に併設された複合用途施設である。
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