
第46号「落雷リスクにおける対策の動向について」
2013.1.1
1. はじめに
2012年11月13日から15日にかけ、北陸地方は冬型の気圧配置の影響を受けて上空に強い寒気が流れ込み、各地で強い雷雨に見舞われた。この雷雨の影響により、各県では雷が主な原因と思われる停電が多数発生し福井県で約6,000戸、石川県で約6,100戸、富山県で約3,900戸が一時停電から数時間に及ぶ停電となった。
夏の上昇気流や冬の寒気の吹き込みなど、大気の乱れや竜巻によって落雷が発生し、電気関連施設が被害を受けるケースはしばしば見受けられる。落雷による損害の発生件数は増加の一途にあるが、一般的な落雷対策は避雷針を中心とした避雷設備の設置にとどまっており、電力需要家における雷対策は十分とはいえない状況である。今後、情報通信技術の高度化や生産設備などの高機能化が進む中で、生産工場や各種の施設を有する事業者にとっても落雷対策はますます重要なものとなってくる。
本稿では、最近発生した落雷による事故事例を示し、落雷による被害の原因とされる雷サージと瞬低(瞬時電圧低下)について、その対策の動向を述べる。
2.北陸地方で発生した落雷による被害の概要
2012年11月13日、日本列島は前線の通過に伴って低気圧が東の海上に移動し、大陸の高気圧が張り出すことによって冬型の気圧配置となった。北陸地方にはマイナス30度以下の寒気が流れ込み、大気の状態が不安定となったため、翌々日の15日にかけて各地で雷雨が発生した。
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