気候関連の財務情報開示に関する新たな動き【新エターナル(2017年2月)】
2017.2.1
はじめに
2007-2008年のリーマンショックに端を発した金融危機から8年が経過した2015年4月、G20財務相・中央銀行総裁会議は、金融安定理事会(FSB)に対して、気候関連のリスクが金融業界に及ぼす影響について検討するよう要請した。その背景には、気候変動に起因する経済的損失の拡大が懸念され、またその対策として、温室効果ガス(GHG)排出につながる化石燃料資源の使用制限や再生可能エネルギーへの転換により、従来の化石エネルギー関連資産(例:石炭鉱山や油田の権益、火力発電所)の価値が毀損し、座礁資産化することが指摘され始めたことなどが挙げられる。このG20の要請を受けてFSBは、「金融市場の参加者が自らの気候関連リスクを理解するのに役立つ情報開示」を促進することが重要と判断し、2015年12月に、マイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長を座長とする、民間有識者による「気候関連財務ディスクロージャー・タスクフォース(TCFD)」を設置して、2016年末までに「気候関連の財務情報開示に関する提言(以下"本提言")」1とガイダンス2の策定を行うこととなった。なお本提言は、その後のパブリックコメントの意見も踏まえ、2017年7月、ドイツで開催されるG20に最終報告される予定である。
本稿では、2016年12月に公表されたその本提言を採りあげるが、気候関連のリスクは、金融業界に限らずあらゆる業種・業態の企業の財務や経営に多大なるインパクトを与えることになる。実際、国内某製造業の2013年度(2014年3月期)有価証券報告書「事業等のリスク」には、「異常気象や天候不順等が、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。」とあり、既に気候関連のリスクが財務に与えるマイナスの影響を懸念している事例も散見される。
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