
2012年度 No.4 「東京都帰宅困難者対策条例の制定と企業における具体的対応」
2012.6.1
0. はじめに
2012年3月29日、帰宅困難者を安全に留めることを目的とした東京都の帰宅困難者対策条例が可決・成立し、来年4月より実際に施行が開始する。これは、今後、東日本大震災同様、大量の帰宅困難者が発生した場合に、被災者の救助・救急活動、消火活動、緊急輸送活動等の災害応急活動の妨げに繋がるとの問題意識から制定されたもので、各企業に帰宅困難者への対応への取り組みを努力義務として定めたものである。本稿では、この条例の制定を受け、企業に求められている具体的行動について解説する。
1. 条例の概要
本条例は、事業者(企業)に対して、以下のような対応を求めている。具体的には、都内の全ての企業に(1)従業者の一斉帰宅の抑制、(2)3日分の備蓄の努力義務を課し、加えて、公共交通事業者や百貨店、学校等の多くの人間が一斉に集まる施設を設置又は管理する事業者に対しては、(3)施設利用者の保護を努力義務としている。
(従業者の一斉帰宅抑制)
第7条
事業者は、大規模災害の発生時において、管理する事業所その他の施設及び設備の安全性並びに周辺の状況を確認の上、従業者に対する当該施設内での待機の指示その他の必要な措置を講じることにより、従業者が一斉に帰宅することの抑制に努めなければならない。 2.事業者は、前項に規定する従業者の施設内での待機を維持するために、知事が別に定めるところにより、従業者の三日分の飲料水、食料その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めなければならない。
レポートを全て見る